日本社会に暮らすニューカマー移民の研究は、移民受け入れ社会の構造に踏み込んだ議論や理論的研究が不足すると指摘されてきた。本研究は、移民の同化についての理論化の第一歩として、日本の移民研究の理論的発展に貢献したと考える。加えて、現在の移民について、歴史的視点を取り入れた研究を行う必要性を示した点は、移民史研究と移民研究の接続に貢献した。また、本研究は、移民受け入れ現場の担当者への聞き取りや移民当事者へのインタビューを含む調査を実施しており、現場の視点に根差した理論は、今後、日本社会や地域社会の統合政策の形成に対しても貢献しうるものである。
|