研究課題/領域番号 |
20K22178
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研究機関 | 宮城教育大学 |
研究代表者 |
中山 慎也 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (10870892)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 科学系博物館 / 理科教育 / 映像教材 / 学習支援 / かはくVR / デジタル教科書 / 防災教育 |
研究実績の概要 |
本研究課題における最終目的は,デジタル教科書や映像教材を用いた授業の場合,その教育効果はどこに現れるのか明らかにすることであった.また,観察・実験の各種の映像教材の作成と,それらを用いたオンライン学習プログラムの開発であった. 初年度の研究では,地球領域の単元「月や星の見え方」について,指導者用デジタル教科書を使用したクラス群と使用しないクラス群を分けて学習への取り組み状況について検証を行った.デジタル教科書の使用群では,「楽しく学習すること」「授業の分かりやすさ」「友だちと教え合うこと」「自分の考えや意見を友だちや先生に分かりやすく伝えること」等について肯定的な結果が得られた.デジタル教科書を使用しない群では,「授業で友だちの考えや意見を聞いて,考えを深めること」について肯定的な結果が得られた.従来の紙媒体教科書の長所とデジタル教科書の特性によって得られる効果を組み合わせた授業展開を行うことの重要性を示すことができた. 2年目には,「月の形と太陽」及び「大地のつくり」や「流れる水のはたらき」の単元について,複数校を調査対象として検証を行った。これらの分析結果を,実践報告の第二報として報告した. おうちで体験!「かはくVR」というウェブコンテンツを,国立科学博物館が令和2年4月24日に配信開始した.令和4年4月1日には大幅リニューアルされた.研究代表者が雑誌論文で言及した点が,リニューアル内容の一部に反映されるに至った.この「かはくVR」の3D映像を活用した理科のオンライン学習プログラムの開発を行った.また,新しい教材である「かはくVR」について小中学校の授業での活用を想定した場合,どこに改善の余地があるのか,何をどのようにするとより効果的な学習となり得るのか等の検討も並行して進めた. 東北地方で実践されている防災教育の事例として,仙台市立七郷小学校の取組みを調査し報告した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題では,デジタル教科書や映像教材を用いた授業の場合,その教育効果はどこに現れるのか明らかにすることであった.また,観察・実験の各種の映像教材の作成と,それらを用いたオンライン学習プログラムの開発であった.指導者用デジタル教科書を使用したクラス群と使用しないクラス群を分けて学習への取り組み状況について検証を行ったところ,デジタル教科書の特性によって得られる効果について明らかにすることができ,実践報告として紀要にまとめて発表することができた.2年目には,対象とする単元や学校数を拡大して分析を行い,その検証結果の発表を行った. オンライン学習プログラムの事例として,国立科学博物館によって新たに提供された「かはくVR」を活用した小中学生を対象にした理科の授業について3例を開発した.その後,「かはくVR」だけでなく国立科学博物館の提供する動画「かはくチャンネル」も併せて授業に活用した学習指導案を開発した. 一方,生命領域の映像教材の開発について,内諾を得ていた研究協力機関を訪問することができず,撮影やデータ提供の段階まで進めることができなかった.そのため,並行して進めていた防災教育の調査について,成果をまとめる作業を行った. 研究成果の発表機会(学会発表)を失ったため,その点について「やや遅れている」と判断している.
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今後の研究の推進方策 |
国立科学博物館の提供する「かはくVR」及び「かはくチャンネル」を活用した理科の学習指導案について,教室内での対面式の授業で活用できるだけでなく,オンライン学習にも対応していること等,成果の詳細を理科教育系の学会で発表する. 研究期間の2年目もコロナ禍の影響を受け,映像教材の撮影を予定していた研究協力機関を訪問できなかった.これに備えて並行して進めていた防災教育に関する調査結果を雑誌掲載できたことから,これらの成果を教員免許更新講習に代わる教員研修に活用することができないか検討を行なう。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止の観点から,映像教材の撮影やそのための協議として予定していた研究協力機関を訪問できなくなったこと,また,初年度および2年目の成果報告として予定していた研究発表大会がオンライン発表となったこと等の理由により,成果報告に係る旅費の大部分を支出できなかった.3年目(延長)に,研究成果の学会発表を理科教育またはサイエンスコミュニケーションの分野で行う予定である.引き続き行動制限の措置が継続される場合や,学会発表がオンラインで実施される場合なども推測される.このような状況の場合,社会情勢を考慮しつつ研究の趣旨に基づいた物品費や調査旅費へと変更するなど臨機応変に対応することとし,効果的効率的な支出に努める.
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