本研究課題における最終目的は,デジタル教科書や映像教材を用いた授業の場合,その教育効果はどこに現れるのか明らかにすることであった.また,観察・実験の各種の映像教材の作成と,それらを用いたオンライン学習プログラムの開発であった. 初年度の研究では,地球領域の単元「月や星の見え方」について,指導者用デジタル教科書を使用したクラス群と使用しないクラス群を分けて学習への取り組み状況について検証を行った.デジタル教科書の使用群では,「楽しく学習すること」「授業の分かりやすさ」「友だちと教え合うこと」「自分の考えや意見を友だちや先生に分かりやすく伝えること」等について肯定的な結果が得られた.デジタル教科書を使用しない群では,「授業で友だちの考えや意見を聞いて,考えを深めること」について肯定的な結果が得られた.従来の紙媒体教科書の長所とデジタル教科書の特性によって得られる効果を組合わせた授業展開を行うことの重要性を示すことができた. 2年目には,「月の形と太陽」及び「大地のつくり」や「流れる水のはたらき」の単元について,複数校を調査対象として検証を行った。これらの分析結果を,実践報告の第二報として報告した. おうちで体験!「かはくVR」というウェブコンテンツを,国立科学博物館が令和2年4月24日に配信開始した.令和4年4月1日には大幅リニューアルされた.研究代表者が雑誌論文で言及した点が,リニューアル内容の一部に反映されるに至った.この「かはくVR」の3D映像を活用した理科のオンライン学習プログラムの開発を行った.また,新しい教材である「かはくVR」について小中学校の授業での活用を想定した場合,どこに改善の余地があるのか,何をどのようにするとより効果的な学習となり得るのか等の検討も並行して進めた. 延長した3年目には,「かはくVR」を活用した中学生対象の模擬授業について,雑誌論文として報告した.
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