研究課題/領域番号 |
20K22180
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
木村 康彦 千葉大学, 医学部附属病院, 特任助教 (00802076)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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キーワード | コロナ禍 / 新型コロナウイルス感染症 / COVID-19 / 奨学事業 / 奨学金制度 / 授業料等減免制度 / メディア授業 / 遠隔授業 |
研究実績の概要 |
本年度は前年度に引き続きコロナ禍により十分な調査協力が見込まれない一方で、徐々に社会全体がポストコロナへと移行していることにより、研究代表者が研究開始当初に想定していた社会状況に変化が生じて調査設計を見直す必要が生じていることから質問項目の見直し作業を行った。また、最近になって実施された先行調査の分析も行っている。具体的には、主に各学校独自の奨学事業(奨学金制度や授業料等減免制度)の運用状況や新型コロナウイルス感染症に対する対応状況の違いなどについて、文献調査や二次分析を進めた。 前者については、特に公的セクター(国公立)と私的セクター(私立)の比較を行うことで、その特徴を明らかとした。結論としては私立のほうが国公立よりも生徒が負担する学費が高額であることもあり、学校独自奨学金は私立のほうが交付規模(人数、単価)が大きい傾向にあるが、奨学事業は学生生徒等の誘致とも密接に関連しているのにもかかわらず、周知がまだ不足している側面もあることが明らかとなった。先行研究の多くは日本学生支援機構奨学金に注目するものが多く、学校独自の奨学事業の特徴が浮き彫りとなった。 後者については、いわゆる「大学授業料返還訴訟」という観点から共著という形で研究成果をまとめている。学校教育をめぐる新型コロナウイルス感染症の影響をデータから俯瞰することで、背景状況が詳らかとなり、判例解釈をよりいっそう深化させることができた。今後の研究課題として、大学だけでなく高校へと敷衍させることが期待される。 上掲の論点については、次年度も引き続き、調査研究を継続する見込みである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度、アンケートによる量的調査の実施を予定していたが、社会全体の新型コロナウイルス感染症への向き合い方などが急速に変化しており、研究当初より準備していた質問項目の調査設計を改めて見直す必要が生じた。また、その一方で新型コロナウイルス感染症への対応で学校現場は疲弊しており、調査協力が得られにくいことが予想されたことから、遺憾ながらアンケート調査の実施を見送らざるを得なかった。止むを得ず、本研究課題について、補助事業期間再延長を申請することにした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は「現在までの進捗状況」欄に記載した通り、コロナ禍の長期化による社会状況の変化で、研究開始当初から準備していた調査計画を見直す必要が生じたことや、今なお学校現場では新型コロナ対応で厳しい状況が続いているため、本研究の遅れを取り戻すのが難しい状況が続いた。しかしながら、地道な資料調査などにより、着実に研究成果は上げている。引き続き、資料収集で培ってきた強みを生かしつつ、本研究の総括に向けて効率的に研究を進めていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度、アンケートによる量的調査の実施を予定していたが、それが実現できなかったため、次年度使用額が生じている。次年度に量的調査が困難な場合は質的調査に切り替えるなど、適切に対応したい。
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