研究課題
研究活動スタート支援
本研究では、視線計測の手法を用いて、聴覚障害児の書いた文章の評価における読み手の情報処理について検討を行った。作文を評価したときの眼球運動特性(停留時間や停留回数など)について分析した結果、主題に関連する明示的情報の検索や読み手自身による類推、統語的情報の脱落や誤用等を含む文の理解、漢字と平仮名の交ぜ書きによる語や文の意味理解等において認知的な負荷が過大となりやすいことが示唆された。また、印象評定による評定値と情報処理における上記の特徴との間には一定の対応関係がある可能性が示された。
聴覚障害教育
聴覚障害児の書く力の向上にあたっては、従来より各教員の経験に基づく作文指導や作文評価が実施されている。本研究では、視線計測により作文評価の時の読み手の眼球運動特性を分析し、どのような箇所で視線が停留するのか明らかにするとともに、評価との関連について検討した。これらの検討により、読み手の経験に即した指導の根拠となり得るエビデンスベースの知見を提供した点に学術的意義があると考える。