研究課題/領域番号 |
20K22184
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
山本 大貴 信州大学, 学術研究院教育学系, 助教 (90880344)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 高等学校における英語教育 / 「話すこと[やり取り]」の指導 / 「話すこと[やり取り]」の評価 / 言語の働き / コミュニケーション方略 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、高等学校の外国語(英語)の授業で実施できる「話すこと[やり取り]」の効果的な指導・評価方法を開発することである。令和2年度には、英語が得意な生徒が多く在籍するA高校で、目標と、目標達成のために必要な「言語の働き」を明確化してデザインした帯活動形式の言語活動を実施した。その結果、参加者のやり取りの力を高まったことや、その活動に対する参加者の満足度が高かったことなどを示された。しかし、それらはA高校で、1名の教員が実践を行った結果であるため、結果が一般化できるとは断言できない。さらに、対照群を設けていない、実践を行った教員の感想に関するデータを収集できていない、という課題もあった。 そこで令和3年度には、A高校と異なり、英語が苦手な生徒が多く在籍するB高校で実践研究を行った。活動内容は、B高校の生徒の実態に合わせて修正した。実践の成果は、処置群と対照群の生徒のプレテスト・ポストテストにおける発話、処置群の生徒が回答したアンケート、教員の授業日誌等を分析することにより検討した。その結果、参加者の「流暢さ」と「理由を述べる力」は向上したものの、「応答する力」と「質問する力」はさほど向上しなかったこと、生徒の満足度はおおむね高かったこと、教員の満足度は非常に高かったことなどがわかった。これらの結果から、本研究の活動を英語が苦手な生徒に実施することは十分可能であるものの、英語が得意な生徒に実施する場合よりもさらに丁寧な指導が求められることが示唆された。 令和2年度の研究の成果は、令和3年8月に、外国語教育メディア学会の全国大会において口頭発表した。また、口頭発表の内容を基に論文を執筆し、査読付き学会誌に投稿した。既に当該論文の掲載は決定しており、令和4年8月頃に発行される予定となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データの収集・分析や、学会発表・論文執筆は計画通り行えているが、高等学校等の英語教員や英語教員志望の大学生などを対象に実施する予定であったワークショップ(本研究成果の報告を含む)は、新型コロナウィルス感染拡大の影響で、開催することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、成果の公表に力を入れる。まず、令和3年度の研究成果をまとめ、学会での口頭発表と査読付き学会誌への投稿を行う。さらに、高等学校等の英語教員や英語教員志望者などを対象とするワークショップ(本研究の成果の報告を含む)を実施する。ワークショップは対面で開催する予定だが、新型コロナウィルスの感染拡大状況によってはオンライン実施となる可能性もある。また、高等学校の「話すこと[やり取り]」の指導と評価の改善に必要な取組はどのようなものであるかを分析し、今後の研究の方向性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は、新型コロナウィルス感染拡大の影響により、1) 令和3年度に実施を予定していたワークショップが開催できなかった、2) 国内外の学会が中止またはオンライン開催となった、3) 研究協力校への訪問が中止となった、ためである。今年度は、ワークショップの開催、学会への出席、論文の英文校正、今後の研究の方向性を検討するのに必要な書籍等の購入などに研究費を使用する予定である。
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