研究課題
本年度は,①前年度に設計した授業の準備・実施・分析,②先行研究に基づいた確率的モデル化能力の発達過程の理論的構築に取り組んだ。まず,①についてである。前年度に,確率の意味理解の困難性の要因として,生徒が仮想世界のランダム生成器と数学世界のモデル確率の関連づけをうまくできないことを指摘した。その上で今年度設計した授業を実施した結果,生徒が,それら2つの関連づけを行う様子を確認することができた。また,授業における生徒の活動を通して,生徒の確率に関する新たな困難性を明らかにし,それを乗り越えるための教師の支援を提案した。さらに,前年度に設計した授業以外の授業の分析も行い,モデル化を目指した授業における生徒の新たな活動の様相を明らかにした。(これらの成果は,科学教育研究,The Journal of Mathematical Behaviorなどに掲載)次に,②についてである。先行研究に基づいて,確率的モデル化能力の発達過程を理論的に構築した。確率的モデル化能力は,確率に関する様々な概念が組み合わさったものであると考えられることから,「同様に確からしい」や「条件付き確率」などの概念に個別に焦点を当てながら,それぞれの概念形成の過程を構築した。また,現在の学校数学の確率における確率に関する様々な概念の扱い方の分析,これまでの授業実践,学習者の実態を分析した。その結果,学校数学の確率におけるモンティ・ホール問題の扱い方や,根元事象の指導などについて課題が指摘され,その改善案を提案した。(これらの成果は,数学教育学研究,数学教育学論究,科学教育研究,日本教科教育学会誌,Philosophy of Mathematics Education Journal,International Electronic Journal of Mathematics Educationなどに掲載)
すべて 2022 2021
すべて 雑誌論文 (21件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 16件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 1件)
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