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2024 年度 実績報告書

チリにおける教育機会格差是正に関する政策の形成背景と影響

研究課題

研究課題/領域番号 20K22195
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

工藤 瞳  慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 講師 (30880257)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2025-03-31
キーワードチリ / 教育バウチャー制度 / 格差是正 / 無償化
研究実績の概要

2024年度は、予定していた2回目のチリでの渡航調査を行った。調査では主に2015年に制定された学校包摂法下での入学調整制度(SAE)の影響に関して、学校訪問、現地研究者へのインタビュー、資料の収集を行った。入学調整制度は、従来各学校が実施していた入学者選抜を禁止し、教育省が入学希望者のオンライン申請に基づいて全国一律で各校への入学を調整する制度である。入学調整制度に関しては、本研究期間中もチリの研究者を中心に多数の研究成果が発表されてきた。これまでの先行研究から、入学調整制度は当初期待されていた学校間の社会経済的格差の是正にはあまり影響がないことがわかってきた。現地調査ではそれに加えて、教育学研究者や政治家などにより入学調整制度に対して賛否両論の評価がされていることがわかった。
本研究期間全体を通して、チリにおける教育機会の格差が政策によって是正されうるのか、学校包摂法と2016年に導入された高等教育無償化政策に着目して検討してきた。学校包摂法の教育機会格差是正効果については、上記の通りあまり影響がないと指摘されている。その要因の一つに家庭の社会経済的背景による学校選択傾向の違いがある。高等教育無償化政策に関しても、対象機関への進学希望の有無などの影響により、必ずしも低所得層の教育機会拡大にはつながっていないことがわかった。チリの事例から、次の示唆が得られた。すなわち、教育機会の格差是正を目指す場合、例えば入学調整制度のように各学校への入学上の障壁をなくしたり、高等教育無償化政策のように費用負担をなくしたりするだけでは十分ではない。入学希望者や家族の希望・選好を考慮し、公立学校や大学以外の高等教育機関での教育水準・環境の改善にも注意を払っていく必要がある。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2025 2024

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] チリの学校包摂法による格差是正効果とその評価―公正性と「教育の自由」の観点から―2025

    • 著者名/発表者名
      工藤瞳
    • 学会等名
      日本比較教育学会第61回大会
  • [学会発表] チリの学校包摂法は誰を包摂したのか―入学調整制度(SAE)の影響―2024

    • 著者名/発表者名
      工藤瞳
    • 学会等名
      日本ラテンアメリカ学会中部日本研究部会

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公開日: 2025-12-26  

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