研究課題/領域番号 |
20K22197
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西山 渓 同志社大学, 政策学部, 助教 (00876211)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 熟議民主主義 / 民主主義教育 / (不)合意形成 / Webワーク / ファシリテーション |
研究実績の概要 |
本研究は、熟議民主主義の理論を応用した熟議型民主主義教育の理論化とその実践を通して理論と実践の架橋を目指すとともに、国内における民主主義教育の活性化を図るものである。特に、通常行われているコンセンサス形成を目指すタイプの実践とは異なり、生徒たちが熟議を通してより民主的に対立することを学びながら、「不合意の合意」といったメタ・コンセンサスを形成し、目下の問題のさまざまな論点を明らかにしたり、具体的にどのような信念や価値観が対立しているのかを明らかにすることを目的とした熟議型民主主義教育の実装を目指す。 2020年度は、新型コロナウィルスの影響により学校での実践ができなかったものの、上記のメタ・コンセンサス形成のためのWebワークの開発を行なった。株式会社Karappoの協力のもと、生徒たちの熟議の前後の意見の変容と対立の度合いをすぐに視覚化することができるWebワークMetanionの開発を行い、第1版が完成した(現在一般公開に向けて調整中)。これと並行し、実践を行う予定の学校の教員とともにMetanionのデザインと実装に関するミーティングを合計4回行い、翌年度の実践に向けての準備を行なった。実践を行う学校ではオンラインによる出前授業も行うなど、協力関係を維持・強化している。 並行して、上記の実践やその背後になる理論などを論文などの様々な形で公開した。2020年度は、査読付き国際誌1本、国内誌1本、ワーキングペーパー1本、書評論文1本(査読付き・英語)が出版されたほか、共著(分担執筆)による本(羊書房より)が刊行された。同時に、3本の論文(国際誌2本、国内誌1本)を新たに執筆しそれぞれ査読審査中であるほか、海外出版社(Oxford University Press)での分担執筆による本の出版が決定しているほか、上記の研究内容を含んだ単著の査読審査中が同出版社で行われている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウィルスの影響により当初予定していたように年内での実践ができなかったものの、元々予定していたWebワークの開発に多くの力を注ぐことができたため、結果として当初予定していたもの以上のワークが完成した点が重要な進展の一つと言える。2021年度はこのワークの一般公開を行うほか、このワークの実践への導入を通して、国内における熟議型民主主義教育の広まりの一つの重要なスタートを切ることができると予想される。また、このワークや熟議型教育に関しての理論面からの考察を十分に深めることができ、その成果が国内・国際誌等の出版という形で広く世界に共有されたと言う点も重要な進展と言える。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度に開発した対立と意見の変容を視覚化するワークMetanionの実装を2つの学校で行い、民主的な対立を中心とした熟議民主主義教育のあり方についてより具体的な知見を生み出す。ここで得られた知見は、担当する教員たちとともに国内国外の雑誌等で公表するほか、ここで使用したMetanionをより広く普及させるための一般公開の手続きを行う。Metanionの普及と本研究の代表者らによる実践の蓄積を広く公表することにより、従来の知識の教え込みや模擬投票といった狭義の民主主義教育を超える、新たな対話型・熟議型の民主主義教育の普及を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
株式会社Karappoの技術協力のもとで開発した熟議のためのウェブワークMetanionのサーバーを無料のものを使用したため(当初は有料のものを予定していた)、当初の予算からの誤差が生じ、結果として少量の余りが出ることとなった。 初年度に余った額が少量(1219円)であることから、これは研究データの保存をするためのUSBの購入に充て、その他の予算は計画通りに執行する。
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備考 |
株式会社Karappoの技術協力のもとで開発したwebワークMetanionは研究代表者と教員のみが使用可能な試作版の状況のため、学校名などの情報が公開されている状態である。2021年度に一般公開をする際はこうした情報が見えないようにする工夫・処理を行うが、今の時点では公開を控えることとする。
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