研究課題/領域番号 |
20K22197
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
西山 渓 同志社大学, 政策学部, 助教 (00876211)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 政治教育 / 熟議民主主義 / コンセンサス / 教材 / 対立 |
研究実績の概要 |
2021年は、昨年度に作成したウェブワーク(「賛成反対ビジュアライザーMetanion」)用い、熟議型政治教育の実践をいくつかの学校で行うことを計画していた。これらのワークを通して、熟議型教育の中で生徒たちが持つ対立やメタコンセンサスの契機を明らかにするとともに、生徒自身が自分たちの熟議のあり方について反省的に検討できるようなワークをデザインしていた。ただし、昨今の新型コロナウィルスの感染拡大が止まらず、予定していた学校での実践が思うようにうまくいかなかった。結果として、もともと予定していた東京と山口の高校ではなく、兵庫県にある中学校で合計4回の実践を行う他、自身が担当する授業の中でこのワークを大学生を対象に行うことで、このワークに関する予備的調査を行うことに留まった。また、もともとは本研究の成果をいくつかの教育学、政治学系の国際学会で報告する予定だったが、こちらも新型コロナウィルスの影響により中止・延期となり、来年度に本プロジェクトを延長する形で引き継ぐことを決定した。 他方で、本研究および本ワークから着想を得た理論研究をかなりの度合いで進めることができた。本研究の成果を下敷きにした論文が国際誌に複数掲載された他、それを受けて様々な国際ワークショップ(オンライン)で本研究のベースとなる理論とワークを公開することができた。 これらを踏まえ、少なくとも本研究によって作成された「Metanion」は、子供たちの熟議における対立の度合いや選好の変容、そしてメタ・コンセンサスの度合いを即座に視覚化することで、より反省的な熟議を促すツールであると言うことが比較的広く共有されることとなった。残るは、これをより多く実践に応用し、その成果を踏まえて一般公開をすることである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨今の新型コロナウィルス拡大が収束しないことで、予定していた学校での実践的研究を行うことが十分にできなかった。その分理論研究は十二分に進んだものの、本研究の最大の意義はその実践的効果の測定にあるため、本研究の進捗状況は「やや遅れている」とした。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は2021年までのものであるが、上述の理由により研究をより促進させる必要があるため、1年間の延長の申請を行った。現在は新型コロナウィルスの規制も徐々に緩和していることから、次年度中には予定していた実践を遂行することが可能であるように思われる。また、予定をしていた学会発表も、2022年には可能となる見込みが十分にある。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021度は、新型コロナウィルス感染拡大の影響から実践的研究が十分に着手できなかった。2022年度は現時点ですでに大幅な規制の緩和がなされており、学校における実戦への見通しも立ってきたことから、使用しなかった分の資金を用い、実践研究及びその成果を報告するための国際学会参加費などに支出をする予定である。
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