本研究は、ミャンマーの基礎教育を事例に、マクロデータから溢れ落ちてしまうミクロな修学実態に着目しつつ、学習者を取り巻く社会・経済の影響を踏まえ た教育政策の効果検証を試みる。そして、都市部と地方部の結果の比較・検討を通して、同国を含む開発途上国への具体的な提言抽出を目指す。昨年度に引き続き、本年度においても、COVID-19パンデミックやミャンマー国内のクーデターによる治安悪化等により予定していた現地調査の実施は叶わなかった。 そこで、本年度も当初の計画を変更し、同国都市部および地方部の収集済みデータを用いた分析を継続した。具体的には、各地域の基礎教育段階の収集済みデータを用いて、教育評価制度改定という教育政策が、異なる社会経済的地位(SES)を有するグループ間の教育格差の縮小に真に貢献できているか否かについて検討した。また、研究最終年度となる本年度においては、特に都市部の分析結果を取りまとめて学術書として出版し、本研究課題の成果を広く公表するに至った。
|