本研究はスコットランドにおけるインクルーシブ教育政策の成立過程を明らかにすること、またその政策が学校現場に与えたインパクトを明らかにするものである。そのために、(1)議事録分析、(2)専門家への聞き取り調査、(3)管理職への聞き取り調査を行うことを予定している。2020年度は冒頭の研究内容のうち前者にあたる、インクルーシブ教育政策の成立過程の解明に注力した。具体的には、スコットランド政府の公開している議事録を渉猟し、分析対象となる議事録の選定と一部翻訳を行っている。また、議事録分析やインクルーシブ教育に関する資料を収集し、現地調査遂行の下準備も行った。さらに、ヨーロッパ諸国のインクルーシブ教育に関する統計データの二次分析を行い、本研究が対象とするスコットランドの位置付けをより明確にすることができた。また2021年度は引き続き統計データをもとにした分析を進めるとともに、コロナ禍による影響を明らかにしたり、これまで得られたスコットランドのインクルーシブ教育に関するデータをまとめて学会誌の特集論文としてまとめる作業に取り組んだ。 なお、2022年度も2020-21年度に引き続き現地への渡航は不可能となったが、オンラインで収集できる情報をもとに研究活動をおこなった。得られた成果は日本比較教育学会および発達障害学会の学会誌に掲載されている。また、これらの得られた成果をもとにした科研費も申請し、無事に採択されたため、2023年度以降に渡航し、データの補完を図る予定である。
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