本研究は、北海道における外国人との多文化共生に関する各地域と研究機関内の取り組みの状況を把握し、取り組みモデルを作成することを目的とする。2019年に在留資格が増え、外国人人材の受け入れが全国的に広がりを見せており、北海道も例外ではない。しかし、市町村や機関を超えた情報が共有されにくく、連携の不足、取り組みの質や量の不均衡という課題が生じている。 そこで、本研究では①北海道各地域の現状把握調査、北海道大学内の研究・実践の調査を行う。②さらにいくつかの地域を取り上げ、取り組みに関わるキーパーソンへのインタビューを行う。③インタビュー結果の整理、団体の類型化。④これらの情報を共有できるweb上のプラットフォームを作る。 研究成果としては、①+②をまとめた冊子を作成した。冊子は、北海道全市町村、民間団体13か所に配布し、その成果を広く共有した。また、所属大学で行われた「第1回地域日本語教育シンポジウム」の参加者約80名にも配布した。オンライン開催だったため、道外参加者にも調査結果を広く知ってもらう機会に恵まれた。②の聞き取り調査は、これまでに民間団体2か所・自治体5か所に実施した。③については、インタビューや調査の結果を類型化を進めている最中である。その一部を、日本語教育学会、言語文化教育研究学会で発表した。④についてはwebサイト設置を試みたが、本研究独自で作ることが難しいとわかったため、他の研究と連携して掲載していく方向で調整を試みている。 さらに、調査、成果報告を行う中で情報の共有が図られ、人的ネットワークが作れた。また、北海道の担当部署とつながり、情報共有できる関係となったことで、調査結果を還元しやすい環境が作れたことも成果であろう。今後は③の調査結果の類型化作業を継続し、学術誌へ投稿を行うこと、一元化された情報共有の仕組みを構築していく予定である。
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