研究課題/領域番号 |
20K22208
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
池田 彩乃 山形大学, 地域教育文化学部, 講師 (70878470)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 自立活動 / 実態把握 / 授業設計 / 思考様式 |
研究実績の概要 |
本研究では、障害のある児童生徒に対する特別な教育領域である自立活動の指導における実態把握と授業立案に着目し、専門性の高い教師が、どのような観点で対象児童生徒の実態把握を行い、自立活動の授業目標・内容を導き出しているのか、その一連の思考様式を解明することを目的とした。 2020年度は、対象教師複数名に対してインタビュー調査を実施した。対象は、①肢体不自由特別支援学校において、個別による自立活動の指導の指導経験があること、②自立活動に関する第三者の評価があること(例えば、地域支援等で様々な児童生徒に対する自立活動の指導を実践している、校内の自立活動の指導をコーディネートしている、自立活動に関わる資格を有している等)を選定基準とした。なお、自立活動の指導は、指導体制(個別,集団)や教育課程上の位置づけ(授業時間を特設して行う自立活動の時間における指導(以下,時間における指導),学校の教育活動全体を通じて行う自立活動の指導)等が各学校の実情に応じて柔軟に編成できる教育領域である。本研究においては、教師と対象児童生徒が1対1で行う個別の時間における指導を想定した。そのため、日常的に個別の時間における指導を実施している肢体不自由特別支援学校教師から対象を選定した。 調査の結果、実態把握の観点として、身体の使い方や動きを基本として、コミュニケーションや認知の発達段階、集団内での反応等を重要な観点として実態把握を行っていることがわかった。また、実際には、個別の時間における指導であっても、対象児童生徒の実態把握や授業設計においては、関係する複数教師の協議を経て行われており、その際には個人の観点や思考との相違が見られ、対象教師は集団内での人間関係や役割を想定し、協議の中で観点や思考を柔軟に調整しながら授業目標・内容を導き出していることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
感染症の状況を含めた教育現場の現状を踏まえ、当初の計画から研究目的や方法を見直して調査を実施することとした。 計画の見直しを行ったことや、その後対象教師の選定や調査の日程調整、方法の検討(感染症対策等を考慮した方法の模索)等のため、当初の計画よりやや遅れての実施となっている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画においては、学校現場でのフィールドワークも調査内容として計画していたが、地域における感染症拡大の現状や特別支援学校という調査対象の特徴(感染症においては特に注意しなくてはならない児童生徒が通っている学校であること等)を踏まえると、計画の変更を余儀なくされている。研究目的を達成できる別の方法を模索し、調査を実施していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症の状況により、県外での研究の打ち合わせや学会等にかかる旅費の使用がなかったため。
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