研究課題/領域番号 |
20K22209
|
研究機関 | 宇都宮大学 |
研究代表者 |
齋藤 大地 宇都宮大学, 共同教育学部, 助教 (20878433)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
|
キーワード | ダイナミックアセスメント / プランニング / 知的障害 / 実行機能 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、社会的相互作用によって促進されるプランニングの性質を踏まえ、知的障害児者の変容可能性(どうありうるか)を測定し支援・指導に有益な情報を提供する動的なアセスメント(dynamic assessment、以下DA)を開発し、開発したDAを用いて知的障害児者のプランニングの特性を明らかにすることであった。 そこで研究1においては、DAの概念を援用し知的障害児者のプランニングを測定する課題を開発することとした。開発にあたって、まずはDAの歴史的な経緯を踏まえ、誕生当時から現在までに開発されてきたDAについて関連する先行研究を概観した。その結果、DAは検査者と被検査者間の相互作用のタイプによって、相互作用主義と介入主義に分類されること、そしてDAで用いられる課題は、その性質によって領域固有性と領域一般性の課題に大別されることが明らかとなった。また、知的障害児者や発達障害児者を対象とし領域一般性の課題を扱ったDAにおいては、相互作用主義のアプローチが多く、ほとんどが実験的な研究であった。そのため、今後はDAの信頼性と妥当性の確立を前提にしながらも、教育現場における事例的な研究によってDAが本来目指すべき指導と評価の一体化に立ち戻り、アセスメントの結果と実際の指導とを有機的に結び付けることを第一義的な目標に据えた研究が求められていることが示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は、研究2において研究1で開発したDAを100名-200名の知的障害児者に実施し、知的障害児者のプランニングの特性を明らかにする計画であった。しかし、知的障害児者や発達障害児者を対象としたDAの先行研究を概観した結果、DAに関する実験的な研究の成果が実際の支援・指導に結び付いていない現状が明らかとなったため、DAに関する事例的な研究を進めていくこととした。こうした研究方法の変更により、当初の計画に遅れが生じた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後は研究1において開発したDAを数名の知的障害児者に実施し、事例的に知的障害児者のプランニングの特性について把握する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初2年計画であったが、コロナ禍による研究計画の遅延により3年計画に延長したため使用額が生じた。 以下に、具体的な使用計画を示す。 作成したDAの課題を知的障害児者に実態する際にはタブレット端末を使用する予定であり、複数台のタブレット端末を購入する必要があり、物品費として計上した。また、DAの課題の実施場所は、知的障害児者が所属する学校や施設を予定しているため、交通費についても計上した。さらに、学会発表費や、論文投稿及び掲載のための経費についても計上した。
|