研究課題
これまで収集してきた探究的活動のデータの分析を行い、探究的な学習の実態及び、学習評価を行った。更に、その結果を成果物として書籍・論文・報告書にまとめ、発表を行った。その一つとして、大学附属中学校における探究的な学習を通し、生徒がいかなる学びを実感し、自身の活動に満足しているかを分析し、探究的な学習のカリキュラム評価を行ったものである。生徒に実施したアンケート自由記述を分析し、生徒が感じた学びを分類した。この分類は、他の探究的な学習における分析観点として機能しうると考える。更に、探究的な学習に対する満足度の高低が、学びと感じるかどうかに強く影響する(あるいは満足度に影響を与える)観点の存在が示唆された。これを詳細に検証することで、探究的な学習に望む学習者のつまづきや困難を見取る形成的評価の観点が開発できうる。この成果を学会発表し、さらに現在では論文として提出中である。また、カリキュラム評価の部分は、大学のカリキュラム・マネジメント委員会の報告書に掲載済みである。さらにもう一つは、昨年度にデータを分析した大学生のSTEAM学習実践を基に、探究的な学習内で出現する3つの問題解決過程について、分類とモデル化を行った。分類は「科学型問題解決」「工学型問題解決」「工学内包科学型問題解決」の3つであり、特に「工学」の視点は、SSHで実施される課題研究を始めとした、探究的な学習活動内で意識されてこなかったものだと考える。これら、問題解決に種類があるという視点と、昨年度開発した「4つの窓」の省察を合わせることによって、学習者への的確な支援が可能になりうる。以上は学会で発表済みであり、先に述べた成果とともに、委員会の報告書に掲載済みである。また、大学生のSTEAM学習のモデルは書籍に掲載された。以上の成果により、本研究が目的とする探究的な学習のモデル化が実現し、指導・支援方略が確立しつつあると考える。
2: おおむね順調に進展している
研究の報告書・書籍での発表が進み、特に成果公開の点で遅れを取り戻したといえる。また、本研究で目指す「仮説形成検証プロセスのモデル」が具体化され、実際に探究的な学習を行う学校で実践されていることから、「指導・支援方略」についても具体化されてきたといえる。以上より、本研究の目的が具体的な成果となったこと、それが発表・公開されつつあることを以て、順調に進展していると考える。
指導・支援方略の実践を評価し、開発したモデルと照らし合わせ分析を行い、方略やモデルの妥当性を確かめる。そしてその結果を学会発表し、論文化する。具体的には、指導・支援方略を実施している学校現場にて、昨年度具体化した分析観点より尺度アンケートを実施し、量的な分析を試みる。それにより、方略の成果を評価するとともに、探究的な学習を通した学びの実態を更に調査し、学習カリキュラムの評価や学習者の課題の把握、カリキュラム改善の提案を行う。これらの結果を、特に分析観点によるアンケートの分析を中心として、探究的な学習の評価について論文可視、学会誌への投稿を行う。更に、これまでの研究成果を統合した探究的な学習に関する論説も執筆、発表したいと考えている。
学会参加費、論文投稿にかかる諸経費、研究室維持費、消耗品費(印刷費用、教材作成)として使用予定。
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https://osaka-kyoiku.ac.jp/university/center/school/kenkyu/karimane.html