日本の在住外国人に対する教育制度、海外における移民政策に関する文献調査を中心に行い、在住外国人に対する教育制度の変遷および社会教育における日本語教育の位置づけに関して調査した。特に成人に対する学習支援、キャリアアップ・就業支援に関する海外・国内の事例を整理した。 和歌山県教育委員会「きのくに学びの教室」の日本語教室(南紀教室、新宮教室)を訪問し、授業見学及び日本語教員に対する聞き取り調査を行った(2022年7月および2023年2月)。また、青雲教室の他教科(英語・国語)の授業見学および学習者への聞き取り調査を実施し、地域住民の学習ニーズやモチベーションに関する調査を行った。 和歌山県内の地域日本語教育に関する実態調査において、県内の教室15教室のうち、半数が和歌山市内に集中しており、その内容のほとんどが初級日本であった。学習者の属性の多くは技能実習生であり、つぎに主婦や社会人などが続く。一方で外国籍の小学生や中学生、高校入学を希望する16歳、17歳などの児童・生徒も増えており、生徒の中には母国の義務教育を修了しているため日本の中学校に編入できず、「きのくに学びの教室」に通いながら高校受験の準備をしており、教育委員会や学校との連携・情報共有の体制の整備が必要である。 研究報告に関しては、異文化間教育学会第43回大会(2022年6月)にて「生涯学習・社会教育としての日本語教育―キャリア支援の観点から」、きのくに学びの教室連絡協議会・日本語教育に係る総合調整会議(2022年9月)にて「学びなおし教室としての講座展開の可能性―地域日本語教育の事例から考える―」、文化庁委託 令和4(2022)年度 地域日本語教育コーディネーター研修会(2023年2月)にて「『きのくに学びの教室』における学習ニーズ調査および日本語教師の実践」として発表を行った。
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