研究実績の概要 |
最終年度は,「心理的問題を抱える生徒に対して自ら回復していこうとする力を育むための遠隔授業とはどのようなものか。」という観点から,実験的に授業の構造と機能をデザインし,協力中学校で実施し一定の成果を得た。 研究期間全体を通じて実施した研究成果として以下の2つの研究をあげる。 大塚ら(2022)は心とからだのチェックリストを活用したストレス調査とその対処を目的とした心のサポート授業を開発して実施した。推移グラフの形はW型となっており,低学年の児童が高学年の児童より,ストレス対処が困難であること。地震後のストレス反応とCOVID-19等の災害後のストレス反応は関連する可能性があることが示された。また,この授業の効果として,COVID-19感染予防やリラックス法が児童のストレスの軽減につながったことを示唆した。 大塚・藤田(2021)は,不安因子を特定するための尺度を,「Integration of the Big Five(Willem et.al.),1992」,「状態―特性不安尺度(STAI)(岩本),1989」,「日本語Social Phobia and Anxiety Inventory for Children,2008」,「短縮版児童用不安尺度(Short CAS)日本語版, 2018」,「新しい不安尺度の構成(萩生田),1995」,「中学生用ストレス反応尺度(岡安),2007」から構成し,因子分析の結果4つの不安因子から構成されることが示唆された。 大塚・藤田(2021)は,COVID-19第3波(2021年1月)と第5波(2021年6月)感染拡大時において,中学生のなかで意識・無意識に働いている不安とはどのようなものか,複数の不安因子に係る尺度を組み合わせて質問紙を構成し直し,中学生1,2,3年生が抱えている不安因子の構造を第3波と第5波を比較して,探索的に検討した。
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