研究課題/領域番号 |
20K22219
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研究機関 | 神田外語大学 |
研究代表者 |
松田 憲子 神田外語大学, 外国語学部, 准教授 (70874519)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 道徳科 / 多文化共生 / 韓国道徳教科書 / 相互理解 / 国際理解 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
(1)多文化共生に向けた道徳教材の開発 「共生」する力を育む道徳教材の開発に向け、海外の道徳教育を調べ、日本と似た特徴をもつ韓国の道徳教育について関根(2021)の研究を基にその趣旨を理解した。さらに韓国の4年生の道徳教科書教材を改作した2教材を作成し、2時間扱いの多文化共生の単元「一つの世界へ」として、小学校2校で実践した。 第1時は、食文化の違いをきっかけに、いろいろな国の文化の違いをどのように乗り越えるか考え、第2時は様々な違いに悩む人に、児童がカウンセラーとして答えることを通して、お互いを理解し合う大切さを考える教材である。第2時では、授業後半に単元のまとめとしてすごろくを用いて問題場面に自分で答えるという展開を位置付けた。 (2)開発教材の実践 開発した教材をA市小学校2校の4年生で実践した。授業のビデオやワークシート分析から、各実践の道徳的ねらいはおおむね達成できたことがわかった。1校目の実践の分析では、第1、2時とも授業後のアンケートの設問「集中して学習に取り組んだ」への肯定的な回答が97%を超え、高い評価を得ていた。なかでも第2時のすごろくは「自分の考えを話すことができた」への肯定的な回答が98%を超えた。実践後のアンケートで、「外国の人と一緒に暮らすために大切なこと」は、「失敗しても笑わない」「困っていたら助ける」「相手の立場に立って考える」という回答が多く、「お互いの国の言葉を覚える」は15%ほどに留まった。多文化共生社会実現のためには「言葉よりも大事なことがある」と考えた児童が多かった。この実践研究については千葉大学教育実践研究第25号で報告した。今後、日本道徳教育学会等で発表し、発信していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は、開発した教材の修正と、国内及びフィリピンで実践し、教材と指導法の有効性についての分析を予定していた。しかし、新型コロナウィルスによる渡航制限のため、フィリピンで行う予定であった実践ができず、中断を余儀なくされた。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、2021年度の実践をもとに、多文化共生社会に向けた教材の開発と指導方法を検討し、国内及び海外での実践を行い、実践の分析を行う計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由については、新型コロナウィルスにより海外での資料収集や実践が困難となったため、それらの費用を次年度に繰り越すこととした。 次年度は資料収集や収集した資料の日本語への翻訳費、新規教材の現地語への翻訳費、授業実践に向けての準備費用、海外での実践の渡航等の費用として計画している。
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