本研究は多文化共生社会実現に向けた道徳授業について、小学校の道徳教科書の教材分析、韓国教科書を基にした教材と指導方法の開発及び国内外での実践から検討したものである。小学校道徳教科書(2019)の全教材(1721本)のうち海外素材教材は17.1%、交流の程度が高い教材は4.7%に止まり、内容項目も偏りが見られた。そこで、韓国の道徳教科書から知見を得、「国際理解」「相互理解、寛容」の教材を開発した。国内及びフィリピンで実践した結果、両国の児童生徒から高い評価を得た。またフィリピンでは、現地教員との協働実践により、授業のねらいに深まりがみられるとともに、双方の道徳教育について理解し合うことができた。
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