前項でも述べたとおり,教職志望の大学生にとっては「日本史=覚えるもの」であり,生徒が効率的に語句を覚えられる授業がいい授業という思い込みが強固であることが分かった。そのような固定観念を打破することが,「主体的・対話的で深い学び」に基づく日本史教育を実現するために必要な喫緊の課題といえよう。しかし,少なくとも1980年代初頭までは史資料読解をベースにした日本史の授業が広く行われていた。そのときの教育内容を研究の進展によって教科書の内容が大きく書き換わった今日の日本史探究にそのまま持ちこむことはできないが,その事実は日本の歴史教育を改めるための大きなヒントになることは確かであろう。
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