研究課題/領域番号 |
20K22221
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
劉 麗鳳 日本大学, 文理学部, 助手 (20875801)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 生活指導 / しつけ / 学校教育 / 中国農村部 / 教師や親の認識 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中国農村部において子どもの「生活指導」がどのように実践されているかについて、しつけや学校教育に関する教師・親の認識との関連に注目しながら考察することである。2021年度は海外調査を予定していたが、新型コロナウィルスの影響により、オンラインでインタビューを実施することになった。中国東北農村部に在住し、小学生~高校生の子どもを持つ親7名に対して、インタビュー調査を実施し、その結果をもとに学会報告を行った。以下が本研究で得られた知見である。 第一に、親たちの主たる関心が子どもの学業成績に向けられるなか、「生活指導」とかかわって語られたのは、寄宿生活のなかで子どもが非行的な下位文化に触れ、学業から逸脱してしまうことや、子どもの自己本位的な行動様式、応試教育から生じる心理的重圧への心配であった。 第二に、上記で語られた親たちの心配は学校教育の領域ではなく、家庭教育の領域で親が対処しなければいけない課題として捉えられていた。そのうえで、親たちは子どもの学業達成が阻害されないよう、意図的に学校の教師と良好な関係構築を図り、家庭教育を補うために学校外教育資源を積極的に利用し、学校内における子どもの振る舞い方とその内心世界の変化に注意を払っていた。限られた文化資本のなかで、子どもの学業達成につながる資源を積極的に編み出そうとする農村部の親の姿が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画当初では海外現地調査を行い、調査対象地域に関する資料を収集するとともに、親や学校教師を対象としたインタビュー調査を実施する予定だったが、新型コロナウィルスの影響により海外現地調査を断念せざるを得なかった。その代わりにオンラインでインタビュー調査を実施できたものの、インタビュー対象者に十分にアクセスできず、計画通りの件数に達していないため。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は主に家庭教育に関連する中国国内の政策動向を整理しつつ、資料分析を行う。と同時に昨年度実施したインタビュー調査のデータ分析を継続し、学会報告と論文の執筆・投稿作業を進めていく。新型コロナウィルスの影響により今年度も海外現地調査が難しいと思われるため、引き続き対象者にアクセスしつつ、可能な限りオンラインでインタビュー調査を行なっていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により、当初計画していた海外現地調査が中止となったためである。2022年度も海外現地調査が難しいと予想されるため、中国国内の資料や文献を重点的に入手しその分析作業を進め、可能な限りオンラインでインタビュー調査を継続する。海外現地調査を実施できないことにより生じる不足部分に関しては、最新の資料や文献分析で補うようにする。
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