本研究では、特別な支援を必要とする子どもに対するセルフマネジメントの効果と維持について検討をした。当初の予定では、小学校・中学校における特別支援を必要とする子どもを対象としていたが、コロナ禍の中、外部の専門家が学校に入ることが不可能であったり、子どもが学校に通っていなかったりしたため、特別支援学校、および家庭場面の子どもたちを対象に広げ、研究を実施した。 特別支援学校では、昼休みの終了時、教室に戻ることができない児童を対象とし、外部の専門家が入り、指導を行った。対象児は昼休みを告げるためのチャイムの音、教員の声かけによって教室に戻ることができず、そのまま外で遊ぶ様子が頻繁に観察されており、その結果、授業の開始が遅れ、課題量が減っていた。指導では、教師の声かけを弁別刺激とし、教室に戻る行動を強化するために、教室に戻った直後に対象児の好きな活動を行うことができるようにした。その結果、声かけからすぐに教室に戻ることができるようになった。その後、対象児自身が行動を生起するために、タイマーの音を用いたが、これまでの履歴から行動を生起させることができず、情緒が不安定になった。そのため、友だちが教室に戻る様子を弁別刺激とし、指導者である教員がいなくても、友だちと一緒に教室に戻ることができた。 家庭での実践では、タイマーがなった後、自分から片付けをする行動を行う自己管理手続きを実施した。対象児はトークンエコノミーシステムを用いて、タイマーがなって自分から片付けを終えた時にトークンが与えられる条件よりも、タイマーがなった後、すぐに片付けを行ったかどうかの自己評価手続きを用いることで、最も早く片付け行動が起きることを示した。
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