研究課題
研究活動スタート支援
本研究期間には、以下の2点の調査や分析を行った。第一に、明治18年1月から大正12年2月まで刊行された教育雑誌『岩手学事彙報』につき、内容構成の特徴、編輯体制などをたどった。第二に、明治末から大正期の『岩手学事彙報』における地域のことばに関する記述を掬い上げた。そして、教育関係者の地域のことばをめぐる議論の変遷を分析した。次第に標準語を目指すという傾向が強くなっていくが、子どものことばと向き合い、自己の考えが他者にしっかり伝わるよう導く様子も窺えた。
教育学
本研究では、教育関係者の地域のことばについての見解や取組みとその背景を検討した。教員らが何らかの矯正を主張し実践を行うとき、その背景にどのような事情や教育観があるのかに注目し、単純な方言撲滅とは異なる状況と変遷を示したことに学術的意義がある。昨今、地域振興に方言が活用されたり、催しが行われたりしている。地域のことばの認識や教育方針について、その歴史的展開を具体的に明らかにすることは、社会的関心に応えることになると考えられる。