研究課題/領域番号 |
20K22241
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
坂田 のぞみ 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 研究員 (90881300)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 国際教育協力 / タンザニア / 教授法 / 学習者中心 / アフリカ / 初等教育 |
研究実績の概要 |
研究計画1年目(半年間:令和2年9月から令和3年3月)は、タンザニアでデータ収集を行うために必要な研究許可証の取得、および先行研究の文献調査を行った。コロナ禍の中、研究代表者によるタンザニア派遣はかなわなかったが、現地研究者の協力を得て、三省庁(タンザニア科学技術委員会、教育科学技術省、首相府地方自治省)から許可証を取得した。ダルエスサラーム地域で調査対象小学校を3校選定し、うち1校で調査を開始、教員、児童、両親らが考える「あるべき教授法」について聞き取り調査を行なった。また、研究計画2年目に行うデータ収集に際し、他2校の教師、児童、両親らから、また中央・地方教育行政官と教育関連の市民団体職員らから、研究協力の確約を得た。
教育借用されてきた学習者中心型教授法と、タンザニアで受け継がれてきた現地の教育思想(ニエレレ大統領が提唱した「自立のための教育」)の輻輳性を探究するべく、文献的研究を行った。文献調査と政策分析を行う過程で検討した、「教授法分析に歴史的観点を加える有用性」について、世界比較教育学会(令和2年11月開催)で発表した。また、「タンザニアの歴史・文化的観点から同国における学習者中心型教授法の海外展開」について、日本比較教育学会(令和3年6月開催予定)での発表が確定している。
研究計画2年目を通して、緻密なデータ分析、それに基づく研究成果の発信を国内外の学会発表や国際論文への投稿を通して行うために、令和3年度前半には、データ収集が終了していることが望ましい。未だ現地渡航の困難な状況を鑑み、データ収集は、現地研究者に代行していただく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は研究計画1年目に研究代表者によるタンザニア現地調査、2年目に再度現地に赴き、データ分析結果とそこから得られる教授法の仮設モデルを、調査に参加した教員と政策関係者らと協議する予定であった。しかし、研究許可証の取得に5ヶ月ほどを要し、またコロナ禍で現地への渡航が困難な状況が続き、データ収集の計画がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年6月末を目処に、現地研究者に、小学校関係者および教育行政官・市民団体職員らが価値を置く教授法について聞き取り調査を行なってもらう。インタビューデータを定性分析したのち、①教育借用されてきた学習者中心型教授法、②タンザニア独自の「自立のための教育」、③現代の教育関係者が価値を置く教授法、の三要素間での類似点と相違点を明らかにした上で、オルタナティブな教授法の仮説モデルを生成する。令和3年度後半に現地渡航が可能になれば、研究代表者がタンザニアに渡航し、調査に参加した教員と政策関係者より教授法モデルに対する意見を得る予定である。それらの結果を踏まえて、国内外の学会発表(オンライン)計2回と、国際論文への投稿を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染症拡大を受け現地渡航が不可能な状態が続き、また国際学会もオンライン開催となったため、次年度使用額が生じた。令和3年度後半にタンザニアへの渡航が可能になれば、現地調査を行う。不可能な場合は、現地の研究者に代行でデータ収集等を行なってもらうので、人件費・謝金の支出額が予定より多くなることが予想される。
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