研究課題/領域番号 |
20K22253
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研究機関 | 中京大学 |
研究代表者 |
西尾 千尋 中京大学, 心理学部, 講師 (50879939)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 発達の環境 / 遊びの発達 / アフォーダンス / 養育環境 |
研究実績の概要 |
本研究では、身の回りの物で乳児が自発的に遊び出すプロセスを分析し、生活環境にある物が、遊ぶ行為の発達に与える影響を明らかにすることである。このために、家族という様々な年齢の人々が生活する家庭における縦断的な観察を行う。遊び的な行為の開始と周囲にある物の性質の関連について、アフォーダンスの観点から検討する。方法としては、乳児の養育家庭で日常行為を撮影し、縦断的なビデオデータを収集する。家庭における乳児の自発的な物との関わり事例を収集し、生活環境にある物がもたらすアフォーダンスに着目して、養育環境に存在するどのような種類の物が遊びの創発に関わるのかを検討する。研究は、データ収集、動画データベースの作成・データ分析、成果発表の順番で進めている。本年度は乳児の養育家庭で日常行為を撮影し、縦断的なビデオデータを収集した。撮影中であった2件のデータ収集が終了し、新たな1件のデータ収集が終了した。データ収集と並行して、日常にある物との遊び的関わりのシーンの切り出しと分析を行った。分析の中間的なまとめとして、日本認知科学会第37回大会において「乳児の移動と行為の発達-身の回りにある物の運搬に着目して」、日本生態心理学会第8回大会において「乳児の歩行の発達と物との関わりー複数物の操作に着目した事例検討」、日本生態心理学会第8回大会シンポジウム「どうしてここにこれがあるのか? ─ 住環境のダイナミクス─」において「遊動する物と赤ちゃん」として発表した。これらを通して、日常環境において乳児が自発的に関わる物の種類と、行為の性質、乳児の遊びの発達を支える環境の性質について検討を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
家庭における新規のデータ収集は、コロナウイルスの感染拡大状況を考慮しつつ行なったため、予定よりも少ない収集件数となった。既存のデータと合わせることで分析を開始し、学会における中間的な発表を行なった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は取得済みのデータの分析を引き続き行う。収集した動画から遊び的な行為(繰り返し・物の収集や組み合わせ・遮蔽の利用・他者に参加を求めるなど)を含む場面を切り出し、データベースを作成する。データベースに基づき、分析を行う。遊び的な行為のコーディング(分類) を行い、年齢・家庭にある物の種類・数・配置との相関分析を行う。量的分析とともに事例の検討を行い、学会誌に成果を発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍で出張ができなかったため、旅費が生じなかった。このことで次年度使用額が生じた。次年度において、分析補助の謝金に充てることとする。
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