本研究では、メタ認知的に言語化された歌声に対するイメージや感覚が、歌声の音響的特徴や発声器官の生理的特徴と、どのように関係しているのかを検討した。 まず、アンケート調査を行い、歌い手は身体の動きや歌声に対する感覚を実際の動作を結びつけて、メタ認知的な言葉に変換していることが明らかになった。次に、rtMRIを用いて声量の変化と横隔膜の制御について調査し、プロの歌手は声量を減少させる際に、横隔膜の上昇度合いを徐々に抑制させていることが明らかになった。さらに、声の明るさを歌い分ける際には、口唇の開閉や、喉頭の上下動と咽頭の伸長・拡大によって変化させていることが明らかになった。
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