研究課題/領域番号 |
20K22277
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 友一 関西学院大学, 文学部, 助教 (00879710)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 好奇心 / 退屈 / 記憶 |
研究実績の概要 |
近年,記憶獲得メカニズムにおける好奇心の役割が関心を集めているが,先行研究では好奇心喚起時の記憶獲得に焦点が当てられ,好奇心喚起までの過程は無視されている。したがって,如何にして好奇心が喚起され,如何にして記憶亢進が生じるのかという背景の理解は不十分である。本研究は,好奇心と対照的な状態である退屈に着目し,退屈状態から好奇心状態への遷移を利用して,好奇心によって記憶亢進が生じる背景プロセスの解明を目指している。そのため,退屈状態から脱しようとするときの状態が,好奇心喚起状態に近いと言えるのかどうかを検討する必要があった。そこで,実験参加者に退屈な課題を遂行させ,その状態に耐え難い場合はボタン押下によって異なる刺激(ネガティブ刺激を含むと事前に教示)が出現するという課題を行った後に記憶課題を実施することで,好奇心喚起状態と同様に記憶亢進が生じるかどうかを検討する実験を試みている。また,好奇心による記憶亢進のより具体的な効果を知るため,好奇心喚起時には,呈示された画像刺激の中心情報のみならず周辺情報の記憶成績も向上するのかどうかを検討する実験を試みている。現時点ではいずれも予備的なデータ収集の段階であり具体的な成果は得られていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究環境の整備,行動実験用のプログラム作成など実験準備は完了しているものの,新型コロナウィルス感染症蔓延などの影響もあり,研究計画の倫理審査が大幅に遅延し,対面での実験実施も計画通りに実施できなかった。成果として報告できるデータが現段階で得られておらず,予定よりも進捗は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は,早急に退屈忌避状態の記憶に関する行動実験を実施し,退屈と好奇心喚起時の生理指標計測実験の準備・実施をする。それと平行して,好奇心喚起によって成績が向上する記憶の性質を明らかにする実験も実施する。最終的に得られた結果を取りまとめ,学会,研究会などで発表を行い,論文として投稿する。
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次年度使用額が生じた理由 |
旅費や人件費がかからなかったため,次年度使用額が生じた。2021年度は計画の遂行にあたって機材やPC関連の消耗品も多く必要になると見込まれるので,それらの一部にこの次年度使用額を当てることとする。
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