共同社会の維持に必要不可欠な協力行動を行うよう,人々を動機づけることは容易ではない。本研究では,他者からの直接的な要請を通じて,努力を要する協力行動を促すことができるのか,また,要請の効果が人々の文化的背景によって異なるかどうかを検討した。その結果,文化を問わず,他者からの直接的な要請は協力行動を促す効果をもたないことがわかった。一方,他者に努力を期待されていると感じることは,日本においてのみ,協力行動の実行につながることが明らかとなった。日本では,相手の期待を察知し,それに応えようとすることは協力行動を促す可能性があることが示唆された。
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