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2020 年度 実施状況報告書

言語性幻聴の生起メカニズム:既存モデルの認知神経科学的検討と新規モデルの提案

研究課題

研究課題/領域番号 20K22286
研究機関九州大学

研究代表者

田村 俊介  九州大学, 医学研究院, 学術研究員 (20883333)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード言語性幻聴 / 統合失調症 / 音声知覚 / 安静時脳活動 / 内言
研究実績の概要

本研究では, 言語性幻聴の生起メカニズムに関する複数のモデルを認知神経科学的手法で検証するとともに, 最終的にはそれらのモデルを統合及び具体化した新たな言語性幻聴のモデルを提案することを目的としている。そのために, 本研究では, 「統合失調症者に見られる自発発火や内言の異常が言語性幻聴を引き起こすのであれば, それらの異常に関連する脳活動は実際に音声を聴いている時の脳活動と類似した特徴を持つ」という仮説を立てて実験的検討を進めている。
当該年度は, 男性の発話音声「いちぶぶん」(基本周波数80 Hz)を聴取する際の脳活動を健常者及び統合失調症患者を対象として計測を進めた。健常者を対象とした脳波計測では, 音声信号の振幅包絡と微細構造に同期して生じる遅い(4-8 Hz)脳波の律動的変化と速い(80 Hz)脳波の律動的変化(θ, γオシレーション)を計測し, 両者の間に有意な正の相関があることが明らかになった。安静時脳活動については, 閉眼覚醒時の脳波, 内言時の脳活動については, 「いちぶぶん」という声を思い浮かべている際の脳波計測を行なった。現在, 統合失調症患者のデータ収集を進めており, データが集まり次第, 安静時脳活動や内言時の脳活動データも含めて健常者との比較を行う予定である。
脳磁図を用いた実験については, すでに実験環境を整え, 健常者を対象とした予備的計測を進めている。予備実験データの分析を進めており, データ取得が始まり次第, θ, γオシレーションの信号源解析が行える状況である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

脳波を用いた実験では健常者のデータは収集済みで, 統合失調症者を対象とした実験も開始している。健常者のデータをまとめるために解析環境をすでに整えているため, 統合失調症者のデータが集まり次第, 両軍の結果を比較することが出来る。脳磁図を計測しながら同様の課題を行う準備もすでに整えているため, すぐに開始することが出来る状況である。

今後の研究の推進方策

引き続き統合失調症患者における自発脳活動, 内言時の脳活動, 音声聴取時の脳活動を脳波計を用いて計測し, 神経オシレーションの分析を行う。同様の実験を脳磁図でも実施し, 神経オシレーションの発生源となる脳領域を特定する。最終的に脳波や脳磁図のデータを分析結果をまとめて, 幻聴症状の重い統合失調症者において, 自発脳活動や内言時の脳活動が音声聴取時の脳活動に類似しているのかを検討していく。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍の影響により、脳磁図実験が実施できず費用が執行がなされなかったため。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Recent Findings on Neurofeedback Training for Auditory Hallucinations in Schizophrenia2021

    • 著者名/発表者名
      Yoji Hirano, Shunsuke Tamura
    • 雑誌名

      Current Opinion in Psychiatry

      巻: 34 ページ: 245-252

    • DOI

      10.1097/YCO.0000000000000693

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Brainstem and early cortical auditory activities associated with language differences in acoustic cue weighting for voicing perception2020

    • 著者名/発表者名
      Shunsuke Tamura, Yubin Sung
    • 雑誌名

      Neuroscience Letters

      巻: 735 ページ: 135154

    • DOI

      10.1016/j.neulet.2020.135154

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Long-term test-retest reliability of auditory gamma oscillations between different clinical EEG systems2020

    • 著者名/発表者名
      Yoji Hirano, Itta Nakamura, Shunsuke Tamura, Toshiaki Onitsuka
    • 雑誌名

      Frontiers in Psychiatry

      巻: 11 ページ: 1-8

    • DOI

      10.3389/fpsyt.2020.00876

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Neurophysiological face processing deficits in patients with chronic schizophrenia: an MEG study2020

    • 著者名/発表者名
      Naotoshi Ohara, Yoji Hirano, Naoya Oribe, Shunsuke Tamura, Itta Nakamura, Shogo Hirano, Rikako Tsuchimoto, Takefumi Ueno, Osamu Togao, Akio Hiwatashi, Tomohiro Nakao, Toshiaki Onitsuka
    • 雑誌名

      Frontiers in Psychiatry

      巻: 11 ページ: 1-9

    • DOI

      10.3389/fpsyt.2020.554844

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 治療抵抗性うつ病への経頭蓋磁気刺激による機能的結合性の改善2021

    • 著者名/発表者名
      三苫良, 田村俊介, 立石洋, 門司晃, 平野羊嗣
    • 学会等名
      International Joint Meeting 2020 in Kansai 第23回薬物脳波学会・第37回日本脳電磁図トポグラフィ研究会
  • [学会発表] 双極性障害のミスマッチ課題時における神経同期活動2020

    • 著者名/発表者名
      鬼塚俊明, 平野羊嗣, 田村俊介
    • 学会等名
      日本臨床神経生理学会学術大会 第50回記念大会
    • 招待講演

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公開日: 2021-12-27  

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