研究課題
人間の視覚システムは、外界そのものや観察者の行動により時空間的に変化する情報入力がなされているため、それに対応するような情報の時空間的統合が行われていると考えられる。これを検討するため、研究代表者の過去の研究では同時対比が生じる刺激の文脈情報とターゲットの提示順序を操作することで、視覚情報処理における文脈効果の時間窓を明らかにしてきた。その結果、複数の視覚特徴(大きさ、傾きなど)において共通する時間窓の存在を示唆している。本研究では、この文脈効果の時間窓が少し先の未来を予測するような変化であることから、「予測的視覚」の枠組みで捉え直すことで、その仕組みの解明を目的としている。研究期間全体として、新型コロナウィルスの影響によるデータ取得制限のため、十分なサンプル数が確保できないことが確定していたことから、対象とする視覚特徴を大きさに限定して計画を遂行した。2022年度には、時空間的に連続的な変化を伴う視覚情報処理において、大きさや位置の平均化が行われる時間窓は知覚対象となる刺激提示を中心にその前後の時間も含まれていることが明らかとなっている。一連の研究成果として、研究計画全体で国際学会での研究発表4件、査読付国際誌2報を刊行した。新型コロナウィルスの影響による計画変更のため、視覚全体に共通する仕組みについてはさらに検討が必要なものの、その基盤となる一定の成果が得られたと考えている。今後も研究代表者の主要な課題として、研究を進めていく。
すべて 2022 その他
すべて 国際共同研究 (3件) 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Journal of Vision
巻: 22 ページ: 1-15
10.1167/jov.22.12.19