研究課題/領域番号 |
20K22297
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
玉置 應子 国立研究開発法人理化学研究所, 開拓研究本部, 理研白眉研究チームリーダー (20586276)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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キーワード | 睡眠 / 学習 / 加齢 |
研究実績の概要 |
睡眠が学習において重要な役割を果たす可能性が示唆されている。若年成人を対象とする一連の研究から、睡眠中の自発脳活動が学習促進と定着において重要な役割を果たすことが示唆された。しかし加齢に伴い、学習に関連する睡眠中の自発脳活動は変容し、オフライン学習に影響する可能性がある。日本社会ではますます労働力が高齢化することが予見され、加齢により慢性的な睡眠変容と学習低下が生じると、高年齢の労働者が新しい職場に適応できずメンタルヘルスが悪化がしたり、操作ミスによる事故や怪我が引き起こされたりなど、社会に深刻な影響がある可能性がある。そこで加齢に伴う学習の低下を防ぐ方法を開発することは急務の課題である。本研究では高齢者における学習機能の回復を目指し、睡眠中の自発脳活動の非侵襲的な操作方法を開発し、オフライン学習への効果を調べることを目的とする。
本課題の2年目は、所属機関の変更に伴い、新規に実験室を建設し実験環境を整備した上で実験を再開した。加齢に伴い影響を受ける学習機能の側面と関連しうる自発脳活動を検討した。高齢者および若年コントロール群(合計16名)において実験を実施した。オフライン学習は学習の促進(パフォーマンスの飛躍的な向上)と定着(学習の壊れにくさ)に分離した。若年コントロール群については、睡眠期間を経て、有意な学習の促進および定着が確認された。高齢者群では、学習の定着には顕著な変化はみられなかったが、学習の促進が低下していることが確認された。これに基づき、学習の促進をもたらす自発脳活動をターゲットとして、操作方法の開発に進むことを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度からの所属機関の変更に伴い、旧所属機関には、それまでに取得した予備実験データを返却することになった。2021年4月から、新しい所属機関での実験室工事に着手し、脳波装置も新設した。9月に入り睡眠実験室が完成し、当該実験に着手する基盤ができた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、当研究はリスクの高い被験者を対象とする実験であるため、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見極めながら、実験実施の可否等を慎重に判断する必要性が生じた。これらの条件が合わさり、研究費の使用計画に遅れが生じた。
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今後の研究の推進方策 |
当研究はリスクの高い被験者を対象とする実験であるため、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見極めながら、高齢・若年における実験を継続するとともに、フィードバック環境の整備を進めたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の変更に伴う実験基盤の再セットアップと新型コロナウィルス感染拡大に伴う被験者実験の実施上の問題が理由である。2021年度からの所属機関の変更に伴い、旧所属機関には、それまでに取得した予備実験データを返却することになった。2021年4月から、新しい所属機関での実験室工事に着手し、脳波装置も新設した。9月に入り睡眠実験室が完成し、当該実験に着手する基盤ができた。しかし、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、当研究はリスクの高い被験者を対象とする実験であるため、新型コロナウイルスの感染拡大状況を見極めながら、実験実施の可否等を慎重に判断する必要性が生じた。これらの条件が合わさり、研究費の使用計画に遅れが生じた。
2022年度の使用計画としては、残額982,979円について、実験消耗品(182,979円)および被験者謝金(800,000円)に使用することを予定している。当初の計画では、旅費にかかる費用も計上していたが、新型コロナウィルス感染拡大状況を判断し、オンラインでの参加を検討しているため、変更となる可能性がある。
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