Hybridizable Discontinuous Galerkin (HDG) 法とは不連続Galerkin法において数値流束を未知関数とみなした手法である.HDG法は三角形分割で一様な次数の多項式近似を用いた場合などのある特定の条件下において超収束性という優れた性質を示すことが知られている.Poisson方程式などの2階の楕円型偏微分方程式に対してはM-decomposition理論により十分条件が得られている.Stokes方程式やNavier--Stokes方程式などの問題に関してもM-decomposition理論は有効であることが知られている. しかし,高階の楕円型問題に対してはPoisson方程式におけるM-decomposition理論は有効でなく,超収束性の研究はほとんど進展が見られない. 本研究では,第一種の重調和方程式をモデル問題として,超収束HDGスキームに関する研究を行った.従来のスキームでは超収束しないことが知られているので,勾配に関する補助変数の数値流束を未知関数とみなすというアイデアに基づいた新種のHDGスキームを導出し,数値実験を行った.その結果,4つある変数のうち1つを除いて最善の収束オーダーを達成できていることを確認できた.従来手法よりも収束オーダーが改善されたという点では一定の進展が得られたが,超収束スキームにはなっていないことも判明した.重調和方程式を連立系に書き直したときに現れるインターフェース条件を考慮した手法の研究も行行ったが,今後の研究課題として残った.
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