研究実績の概要 |
本研究では, 空間二次元における一般化KP-Burgers方程式(gKPB)と一般化Zakharov-Kuznetsov-Burgers方程式(gZKB)について, それらの初期値問題に対する解の漸近挙動の解析を行った. これらは分散項と散逸項の形状に異方性があるのが特徴で, 特に散逸項がx方向のみに働くという形をしている点が難点である. この異方性による分散と散逸の相互作用は解の構造に本質的な影響を与え, 特に解の時間減衰評価では特有の減衰率が現れる. 前年度までの研究では, 両者の線形化問題の解析を主として行い, その解の時間減衰評価や近似公式などを導出した. 本年度は両者の非線形問題に対する解析を行い, 解の挙動に関して新しい知見を得ることに成功した. まず, (gKPB)に対しては, Molinet(1999)の研究において, 初期値に空間異方的な正則性の条件を課すことで, 解の上からの時間減衰評価が導出されていたが, その減衰率が最良かどうかは未解決となっていた. 本研究では, 線形化作用素の構造に着目して積分方程式のDuhamel項の積分を細かく分割し, 解の主要部を抜き出すことで, 解の下からの評価を導出することに成功した. その結果, ある特定の条件下で先行研究で得られた評価の減衰率が最良であることを示した. 次に, (gZKB)に対しては, 方程式の空間異方性に注意してFourier Splitting法を用いることで, 非線形項の冪が四次以上の場合について, 解の上からの評価を導くことに成功した. また, (gKPB)の研究から着想を得て, 解の下からの評価を導出することにも成功し, 初期値の積分量が0でないという条件下で, 上からの評価で得られた減衰率が最良となることを示した. なお, これらの成果は両者共に宮崎大学の平山浩之氏との共同研究に基づく.
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