研究課題/領域番号 |
20K22306
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大場 貴裕 大阪大学, 大学院理学研究科, 准教授 (50814464)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2024-03-31
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キーワード | Lefschetz-Bottファイバー空間 / シンプレクティック幾何学 / シンプレクティック多様体 / 複素多様体 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,Lefschetz-Bottファイバー空間というファイバー構造を用いた凸シンプレクティック多様体の研究を開拓することである.具体的な目的として以下の2つを掲げている:(目的1)Lefschetz-Bottファイバー空間を許容する凸シンプレクティック多様体を解明する.(目的2)Lefschetz-Bottファイバー空間を許容する多様体のシンプレクティック構造の性質を明らかにする.以下では目的別に研究実績を記す. (目的1):閉シンプレクティック多様体上の複素直線束がLefschetz-Bottファイバー空間の構造を持つことをこれまでに報告者が示している.前年度に,この構成例が複素幾何学的に解釈できることを指摘した.今年度はこの解釈を用いて,直線束以外の空間(例えば直線束のベクトル束のWhitney和など)にもLefschetz-Bottファイバー空間の構成を試みた.しかし,構成に用いるベクトル場に問題が生じてしまうことを確認した.現在はこの問題の解決策を考えている. (目的2)Lefschetz-Bottファイバー空間を用いてエキゾチックなシンプレクティック構造をもつシンプレクティック多様体の構成を計画していた.今年度も引き続きKwon Myeonggi氏(Sunchon National University)とともに研究を進めた.まずは,(条件付きであるが)シンプレクティックホモロジーのtransfer写像の構成について昨年よりも細部が詰められた.また,派生する研究として,力学的凸な境界を持つLiouville領域のシンプレクティックホモロジーに関する研究をKwon氏と行った.これを論文にまとめ,プレプリント(arXiv:2303.17405)として公開した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
上で記したように,研究に進展があった部分もある.しかし,研究の完成には至っておらず,とくに(目的1)の研究に関しては顕著な進展がないため,この評価である.
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今後の研究の推進方策 |
2つの研究それぞれ,報告者が予想していたよりも時間を要している.これは報告者自身の知識が不足していことにも原因がある.今年度Kwon氏と(目的2)の関連研究についての論文を完成させたことで,理解が深まった部分もある.これを踏まえ,まずは(目的2)の研究を優先的に完成させる.
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響により,昨年度まで出張を行わなかった.それにより旅費の支出が計画よりも依然として少なく,次年度使用額が生じた.今年度からは徐々に出張が再開し始めているため,来年度も研究協力者のもとへの滞在など,引き続き積極的に出張を行う.
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