研究課題/領域番号 |
20K22322
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
皇甫 度均 筑波大学, 数理物質系, 助教 (00870908)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | プラズマー壁相互作用 / スパッタリングー再堆積 / ナノ構造バンドル / RF変調イオン |
研究実績の概要 |
プラズマ装置APSEDASにおいて、タングステンへのヘリウムプラズマ照射時にヘリカルモード遷移によりナノ構造が生成されることを明確にした。また、RFプラズマの周期的点滅がナノ構造の成長に及ぼす影響を調査したところ、ナノ構造の成長はプラズマの点滅に影響されず、プラズマ照射量のみに依存することを確認した。この結果は、プラズマ休止期において試料表面のアニーリングによりナノ構造の成長が阻害されるという当初の予想と相反する結果である。具体的には、試料のアニーリングの時定数よりも速く後続のプラズマパルスが流入することになり、アニーリングによるナノ構造の収縮効果が起きなかったこと示唆された。一方、イオンの入射フラックスに依存してナノ構造の成長速度が変化可能であることを示唆する結果が得られ、今後さらなる精査が必要と思われる。 一方、試料に流入するイオンのRF変調がナノ構造の成長及びNTBs構造に及ぼす影響を調べるため、RFバイアス印加用試料導入系を製作を製作した。一方、流入イオンのエネルギー分布関数を計測するための逆電位分析器の設計が進行中である。また、不純物添加効果を調べるために脱着可能なスパッタリングワイヤ―導入系を設置した。それにより、プラズマー不純物同時照射が可能となった。初期の原理検証実験において、ヘリウムプラズマに曝露したタングステンワイヤーからのスパッタイングにより、タングステン試料表面に堆積層が形成されることをFIB-SEMや水晶振動子膜厚計を用いて確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定通り進行中の点について、(1) RFバイアス印加用試料導入系の設計・製作が終わったこと、(2) APSEDAS装置においてナノ構造の生成可能であることを確認したことが挙げられる。一方、当初の予定より遅れる点について、(1) 逆電位分析器の設計・製作が遅れていること、(2) RF/DCバイアス電源・整合器の整備が遅れること、(3) 共同研究による不純物粒子添加実験がコロナ渦で柔軟に行われなかったことがある。以上を踏まえ、「やや遅れている」と判断する。
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今後の研究の推進方策 |
1.DC及びRFバイアス印加時の流入するイオンのエネルギー分布関数が計測可能であることを目標とし、逆電位分析器の設計を進める。また、既存のRF電源と新たに整合器を設置し、 バイアスティーを用いることでDC/RFの同時照射が可能となるように整備を進める。 2.共同研究を通してDCプラズマ装置NAGDIS-IIにおいてナノ構造バンドルを生成の時系列変化を詳細に調べる。また、DC/RFバイアスシステムをNAGDIS-IIにも適用し、プラズマ源の違いによるナノ構造バンドル成長への影響を評価する。
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