本研究では、高効率な電界電子放出源の候補であるグラフェンやカーボンナノチューブ等のナノ炭素物質に注目し、量子論に立脚した計算物質科学の手法を用いて、電界放出時に発生する、種々のナノ炭素物質やそれらと異種物質からなる複合系の構造ダイナミクスの理論解明を行った。その結果、アームチェア端が高い電流密度を与えることとOHやNHの吸着による電界放出電流密度の増加を予言した。また、二層グラフェンの電界効果キャリア蓄積現象の解析、五員環と六員環からなる二次元新奇炭素ネットワークの物質設計、正電界下でのグラフェンの端周辺のNe原子のダイナミクス、やダイヤモンドナノワイヤの構造と電子特性の解明も行った。
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