研究課題/領域番号 |
20K22324
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
杉原 加織 東京大学, 生産技術研究所, 講師 (60740800)
|
研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
|
キーワード | メカノクロミックポリマー / 原子間力顕微鏡 / 脂質 |
研究実績の概要 |
本研究では、メカノクロミックポリマー、ポリジアセチレンがどの向きに、どの程度の力を加えることでどれだけ発光するのかという「力と発光の定量的ナノスケールでの相関」を、近年自身で開発した「ナノ摩擦力顕微鏡」を導入することで解明する。メカノクロミック素材を理解する上で核となる問いを明らかにすることで、分子レベルでの力を検知するセンサへの応用開発を前進させる意義がある。
初年度の2020年はその第一歩として、ポリジアセチレンの「定量的ナノスケールでの力と発光の相関」をナノ摩擦力顕微鏡で力を加えながら蛍光顕微鏡で発光を観測することで解明した。まずラングミュア・ブロジェットトラフという薄膜作成装置によりモノマーを配列させ、紫外線を当てることによりポリマーをガラスの基盤上に作成した。次にこのポリマーにナノ摩擦力顕微鏡で力を加えながら、発光する様子を蛍光顕微鏡で観測した。かけた力と得られた発光を比較することで、力と発光の相関が得られた。この結果はこのメカノクロミックポリマーを今後力センサとして用いる際に「カリブレーション」の役割を果たす。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で提案した実験の6割は終了し論文として発表できている。これは実験が当初想定していたよりスムーズに実行できたこと、解析プログラムを開発したことによりバッチ解析が可能となって進行が速くなったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度の2021年は、この結果をさらに発展させ、「力と発光の相関」が力の方向、ポリマーの種類、水素結合の強度(水溶液中測定)にどのように依存するかを明らかにする。一番の難関はナノ摩擦力顕微鏡の水中稼働手法を確立することで全ての実験を水溶液中で行うことである。これはこのメカノクロミックポリマーをバイオセンサとして活用するために必要なステップであり、水中での力と発光の相関を得ることは大きなインパクトがある。
|