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2020 年度 実施状況報告書

第一原理計算と強相関手法の組み合わせによるニッケル酸化物超伝導の相図の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22342
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

北谷 基治  国立研究開発法人理化学研究所, 創発物性科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (50871331)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード高温超伝導 / 強相関 / 動的平均場理論
研究実績の概要

当初の計画通り、近年見つかった無限層ニッケル酸化物での超伝導について、1軌道模型を超えて主要なバンド以外をあらわに取り込んだ多軌道模型を動的平均場理論を用いて解析をすることでその効果を調べた。その結果として、フェルミポケットを作っている軌道との混成による超伝導への寄与は小さく、低温になっても近藤効果のような現象は発生していないと考えられることが分かった。これは動的平均場理論を超えて空間揺らぎを取り込んだ動的バーテックス近似を用いても同様と考えられる。
またd軌道間の混成の効果を調べるため、動的平均場理論を用いて超伝導が起こるような低温の計算を行い、フント結合よる影響などを詳細に調べた。さらに動的バーテックス近似を多軌道模型に適用するために、まずは動的バーテックス近似の空間的な揺らぎを取り込むダイアグラム展開の部分の実装の詳細による違いの比較など、詳細なベンチマーク計算を行うと共に、以前より複雑な模型が取り扱えるような改良を進めた。これを用いて実際の実験相図の未解明な部分への適用を行う予定である。
また、銅酸化物・ニッケル酸化物だけではなく、他の遷移金属酸化物に対しても同様の計算を行うことで、類似物質の可能性や転移温度向上のための方針を考察した。これをも多軌道系に用いることで、当初の計画の一つであった、電荷移動型絶縁体とモット・ハバード型絶縁体の違いをより体系的に調べることが出来ると考えている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、1軌道模型を超えて主要なバンド以外をあらわに取り込んだ多軌道模型を動的平均場理論を用いて解析しその効果を調べた。その結果として、低温になっても近藤効果のような現象は発生していないと考えられることが分かった。これは動的平均場理論を超えて空間揺らぎを取り込んだ動的バーテックス近似を用いても同様と考えられる。これにより大きく3つに分けられる計画のうち一つがほぼ完了したといえる。
またd軌道間の混成の効果を調べるため、動的平均場理論を用いて超伝導が起こるような低温の計算を行い、フント結合よる影響などを調べると共に、他の遷移金属酸化物に対しても同様の計算を行うことで、類似物質の可能性や転移温度向上のため、相関効果がどの程度大きい場合が超伝導に有利かを調べた。これらを用いて、残りの研究計画も順調に進めることが出来ると考えている。

今後の研究の推進方策

現在行っている、動的バーテックス近似の多軌道系への拡張手法を用いて、ニッケル酸化物超伝導体の相図全体の計算を行う。また、同様に計算を進めているパラジウム酸化物の計算などとの比較を通して、まわりの軌道との混成効果の違いからくる影響を調べ、転移温度向上への方針を考察する。

次年度使用額が生じた理由

物品の購入が遅れたこと、コロナの影響で旅費が全く使えなかったことなどにより次年度への繰り越しが発生した。物品については次年度のはじめにワークステーションを購入する予定である。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 国際共同研究 (1件)

  • [国際共同研究] ウイーン工科大学(オーストリア)

    • 国名
      オーストリア
    • 外国機関名
      ウイーン工科大学

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公開日: 2021-12-27  

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