研究課題
雷放電の発生時には、ときに数十MeVに及ぶ高エネルギー光子が大量に降り注ぐ地球ガンマ線フラッシュ (TGF) と呼ばれる現象が発生する。本研究課題ではTGFの発生機構を明らかにするため、小型なTGF検出器の開発を行い、北陸地方で冬に発生する雷を対象に観測を行っている。本年度は半導体光センサーを用いた地球ガンマ線フラッシュ (TGF) を専門に観測する小型検出器の開発を完了した。半導体光センサーのゲインの温度補償回路や、TGFの高フラックスをサチュレーションなく観測できるシンチレータ・回路系の設計を実施した。開発した小型TGF検出器は石川県金沢市に設置し、観測を行った。R3年度には2021年12月に1例のイベント候補を検出し、解析を進めている。またR2年度の観測データを解析したところ、2021年2月に2例のTGFが観測され、こちらも詳細な解析を進めている。上記の新たな観測に加えて、これまで北陸地方で観測されたTGF7例について、広帯域長波帯電波観測との比較を行い、TGFを引き起こした雷放電が2種類に分類できることを明らかにした。この成果はアメリカ地球物理学連合大会で発表した他、同連合の速報誌にも査読論文として掲載された。さらにTGFに関係したガンマ線グローと呼ばれる雷雲から放出される数分のガンマ線事象についても系統的な解析を実施し、70例のイベントからガンマ線グローの継続時間やガンマ線スペクトルといった基本的な情報をまとめ、査読論文として出版した。
すべて 2022 2021 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Geophysical Research Letters
巻: 49 ページ: -
10.1029/2021GL097348
Journal of Geophysical Research: Atmospheres
巻: 127 ページ: -
10.1029/2021JD035958
大気電気学会誌
巻: 100 ページ: 39-40
Physical Review Research
巻: 3 ページ: -
10.1103/PhysRevResearch.3.043117
巻: 126 ページ: -
10.1029/2021JD034543
陽電子科学
巻: 17 ページ: -