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2021 年度 実施状況報告書

ガンマ線・X線観測を用いた最高エネルギー宇宙線のハローの探査と起源の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22356
研究機関国立研究開発法人理化学研究所

研究代表者

辻 直美  国立研究開発法人理化学研究所, 数理創造プログラム, 特別研究員 (50878444)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2023-03-31
キーワード宇宙線 / ガンマ線観測 / X線観測 / 最高エネルギー宇宙線
研究実績の概要

宇宙空間を満たす高エネルギー荷電粒子は宇宙線と呼ばれ、これまでに10桁以上に渡るエネルギー範囲で宇宙線が観測されている。中でも最高エネルギー宇宙線(E>1 EeV; Ultra high energy cosmic ray; 以下、UHECR)の起源は全く解明されていない。UHECRは宇宙背景放射と相互作用することで、天体の周囲にハローと呼ばれる電子陽電子のプールが形成される。このUHECR由来のハローからのX線やガンマ線を測定することで、一次粒子の情報を間接的に引き出し、UHECRの生成メカニズムを検証することが出来る。
ガンマ線解析には、TeV望遠鏡HESSによって撮られた観測データを用いる。本年度も引き続き、HESSのデータ解析に必要な環境を整備し、解析手法の習得に従事した。特に、大質量星団W43/HESS J1848-018のデータ解析をリードし、TeVガンマ線の詳細な空間分布を明らかにし、空間分解されたスペクトル解析を行った。この解析を通して、広がった天体の取り扱いについて理解を深めることができた。得られた結果は国内学会やHESSコラボレーション会議で報告した。従来の解析ツールHAPに加えて、オープンツールであるGammapyの使い方も習得した。また、HAPワーキンググループの一員として、その解析性能の評価にも貢献した。
同時にX線のデータ解析にも取り組んだ。チャンドラ衛星、XMM-Newton衛星のデータを用い、X線の空間構造とスペクトルを取得した。スペクトル解析では銀河拡散放射を考慮し、詳細なバックグラウンドの見積もりを行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究は、TeVガンマ線観測を主に用いた研究である。本研究に使用するガンマ線データはTeVガンマ線望遠鏡HESSのコラボレーション内のみで取り扱うことができる。そのため、HESSを運用する機関に出向き、コラボレーションの研究員に解析の指導を仰ぐ必要があった。しかし、本年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外の研究機関への出張ができず、思うように計画を推進することができなかった。その中でも、オンラインでの研究打ち合わせを行い、徐々に研究が進んでいることから、やや遅れているとした。

今後の研究の推進方策

HESSのデータ解析手法はこれまでに十分習得できたと言える。今後は、研究対象とする天体(活動銀河核M 87やスターバースト銀河NGC 253など)の解析に本格的に取りかかる。この時、既に報告されている中心部からの放射成分を取り除 き、周りに広がった天体の有無を検証する。研究経過については、随時共同研究者に報告し、議論を並行して進める。さらに同天体のX線解析も並行して行う。 可能であれば、HESSを運用する研究機関を訪れ、TeVガンマ線のデータ解析における詳細を議論し、解析ツールの運用や精度向上にも貢献する。出張が出来ない場合も、オンライン会議により共同研究者と連絡を取り合い、研究を進めていく。

次年度使用額が生じた理由

海外の研究機関への出張を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で出来なかった。その分の費用を次年度に持ち越している。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2022 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 学会発表 (2件)

  • [国際共同研究] Max-Planck-Institut fur Kernphysik/DESY(ドイツ)

    • 国名
      ドイツ
    • 外国機関名
      Max-Planck-Institut fur Kernphysik/DESY
  • [学会発表] 大質量星団W43/HESS J1848-018の多波長観測2022

    • 著者名/発表者名
      辻直美
    • 学会等名
      日本物理学会
  • [学会発表] HESS J1848-018/W43領域の多波長観測2021

    • 著者名/発表者名
      辻直美
    • 学会等名
      日本天文学会

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公開日: 2022-12-28  

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