本研究では、抗酸化酵素スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)の活性金属中心の起源と進化を明らかにすることを目的とし、分子系統解析および生物実験を行った。シアノバクテリアが保持する4種のSOD:鉄(Fe)、マンガン(Mn) 、銅・亜鉛(Cu・Zn)、ニッケル(Ni)を活性中心とするSODについて行った分子系統解析の結果、シアノバクテリアが保持するSODの活性金属中心は、海洋の溶存金属元素濃度の変動史と整合的に選択されてきた可能性が示唆された。このうちFeSODおよびMnSODについては、祖先型遺伝子配列の推定と遺伝子合成が完了し、今後、祖先型タンパク質の再生を行うことが可能である。
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