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2020 年度 実施状況報告書

地磁気年代測定と放射年代による津波石の移動履歴の解明

研究課題

研究課題/領域番号 20K22361
研究機関東京大学

研究代表者

佐藤 哲郎  東京大学, 地震研究所, 特任研究員 (00830085)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード津波石 / 年代測定 / 残留磁気 / 放射性炭素
研究実績の概要

本研究の目的は、過去の巨大津波で移動した巨大な岩塊(津波石)の移動履歴を、地磁気を利用した年代測定から解明し、環太平洋沿岸地域の津波災害リスクの低減に貢献することである。そのために以下の3点に重点的に取り組む。(I)沖縄県石垣島、トンガ王国トンガタプ島とエウア島のサンゴ津波石の地磁気年代測定を行う。(II)放射性炭素(14C)年代 とウラントリウム(U-Th)年代を用いて地磁気年代の検証を行う。(III)津波石に含有される磁性粒子の特性を把握し、津波石の磁気が長い時間の中でどのように変化するのかを明ら かにする。これらの目標が達成できると、津波石が記録する巨大津波の時間間隔が解明され るとともに、地磁気年代測定法が新たな年代軸決定方法として実用化される。
本年度は(I)に関して、石垣島の野外調査を実施し津波石試料の採取を行なった。得られた試料を無磁場中で加熱し段階熱消磁を行うことで、津波後に獲得されたとみられる残留磁気方位の検出に成功している。また、トンガ王国の津波石に関しては、コロナ禍のため現地調査は実施できなかったが、これまでに取得済の試料を用いて段階熱消磁実験を行い移動後の磁気記録を検出している。(II)に関しては、石垣島の津波石15個から試料を採取し、放射性炭素年代の測定を行なった。その結果、先行研究にて報告済みの年代値よりもやや古い年代を検出してきている。この結果に関しては、更に試料採取を進め、年代測定を施すことで統計的に検討する予定でいる。(III)に関しては、磁気特性測定システム(MPMS)を用いた低温での磁気相転移点の検出と磁気緩和実験、磁場勾配型磁力計(AGM)を用いた磁気ヒステリシスおよびFORCダイアグラムの測定を行った。その結果、磁性鉱物の同定と試料の持つ磁性粒子のサイズなどに関する情報を得られた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度は種々の実験と野外調査を実施できた。まず熱消磁実験を行なって、残留磁気方位の変化の検出に成功している。試料の持つ磁気特性に関しても検証を進められたため、磁気年代測定に必要なデータが出揃い始めている。また、放射性炭素年代測定も実施でき、磁気年代と照会可能な年代値を得ることができた。

今後の研究の推進方策

石垣島の津波石に関しては、放射性炭素年代の更なる取得に向けて野外調査と試料採取を実施する。また、熱消磁実験も継続的に行い、統計的に津波の発生年代と再来周期に関して検討していく。
トンガの津波石に関しては、コロナ禍で野外調査が実施できる状況下ではないため、これまでに取得済みの試料を用いて正確な磁気年代の算出に務めることとする。
上記の研究成果をまとめて、国際誌へ投稿し出版できるように研究を推進していく。

次年度使用額が生じた理由

次年度使用額は、前年度内に発注済の物品が納品されなかった結果として生じた。この予算は、次年度内に物品や旅費等として活用する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2020

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Paleomagnetic dating of wave-emplaced boulders2020

    • 著者名/発表者名
      Tetsuro Sato, Norihiro Nakamura, Kazuhisa Goto, Masaki Yamada, Yuho Kumagai, Hiroyuki Nagahama, Koji Minoura
    • 雑誌名

      Geological Records of Tsunamis and Other Extreme Waves

      巻: なし ページ: 777-793

    • DOI

      10.1016/B978-0-12-815686-5.00036-5

    • 査読あり
  • [学会発表] ラハール堆積物の定置年代の推定とナノバブルを用いた還元化学消磁の試み2020

    • 著者名/発表者名
      池田 暁、中村 教博、佐藤 哲郎
    • 学会等名
      地球電磁気・地球惑星圏学会第148回総会及び講演会

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公開日: 2021-12-27  

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