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2020 年度 実施状況報告書

基線長補償システムによる重力波望遠鏡の安定化

研究課題

研究課題/領域番号 20K22364
研究機関東京大学

研究代表者

三代 浩世希  東京大学, 宇宙線研究所, 特任研究員 (70881150)

研究期間 (年度) 2020-09-11 – 2022-03-31
キーワード重力波 / レーザー歪み計
研究実績の概要

本研究では、大型重力波望遠鏡の観測可能時間を向上させるために、KAGRAに基線長補償システムを確立することを目標とする。現在の世界の重力波望遠鏡の単体の稼働時間は6割ほどあるが、到来方向を決定するために最低限3台の同時観測が必要であり、これは5割を下回っている。この稼働時間を低下させる最大の原因は地面振動である。地震のような突発的で大きな揺れ以外にも、波浪由来の僅かな揺れや、地球潮汐によるゆっくりとした地面の動きなどは、キロメートル規模の基線長をもつ大型重力波望遠鏡の精密測定を困難にする。本研究では、これら地面振動の挙動をレーザー歪み計を用いて定量的に明らかにし、KAGRAが受ける地面振動の影響を低減するための防振システムを構築する。

現在、KAGRAは第四次国際共同観測(O4)にむけて、現状の防振システムの改修作業をおこなっている。この作業では、高感度な慣性センサーをインストールして防振性能を高めることが計画されている。慣性センサーをもちいた防振システムは現在の大型重力波望遠鏡に標準採用されており、このセンサー感度を高めることは、重力波望遠鏡を不安定にする地面振動への防振性能を高めることを意味する。しかしながら、この慣性センサーには原理的な問題により、先述の地面振動をすべて測定できる感度はない。一方でレーザー歪み計であれば、この慣性センサーの問題を包括的に直接解決できる。本計画では、まず現在主流である慣性センサー方式の防振システムの防振性能を評価し、その後レーザー歪み計方式の防振システムの評価をして、その性能の違いを調べることを計画している。現在、慣性センサーのインストール作業などをおおむね順調にすすめており、今秋にはその性能評価ができる見通しである。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

現在、従来方式を評価するために慣性センサーのインストール作業をすすめている。この進捗はおおむね順調にすすんでおり今秋には終わる予定である。また本研究で使用するレーザー歪み計も安定して観測を続けているため、従来方式と本方式を比較する準備は整いつつあるといえる。

今後の研究の推進方策

レーザー歪み計はKAGRAの片腕だけに併設されているが、KAGRAにとっては両腕の防振が必要であるため、他方の腕は従来方式の防振に頼らざるを得ない。そのため、KAGRAを運転するためには両腕に慣性センサーのインストールが必要である。この作業を加味してさらに、KAGRAが重力波望遠鏡として稼働するための調整作業を含めると、来年の春ごろに従来方式の準備ができる。この状態になってはじめて、レーザー歪み計をもちいる本防振システムがどのように観測可能時間を伸ばすかを評価でき、本研究の有効性を示すことができるだろう。

次年度使用額が生じた理由

研究遂行に必要な計算機環境や性能向上のための回路制作が必要であるため。

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公開日: 2021-12-27  

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