研究課題/領域番号 |
20K22365
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
五味 斎 東京工業大学, 地球生命研究所, 特任助教 (10876171)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 内核 / 積層欠陥エネルギー / KKR-CPA |
研究実績の概要 |
本研究課題の中核となるのは、第一原理バンド計算である。初年度であるこの半年間では、主にこの目的のための計算機のセットアップとテスト計算を行った。具体的には、ログインノード、ファイルサーバーと20台の計算ノードをイーサーネットで接続してPCクラスタの構築を行った。ジョブ管理システムとしてはPBS proをインストールした。第一原理バンド計算パッケージとして、KKR-CPA法が利用できるAkaiKKRのほか、地球科学分野で広く使われている擬ポテンシャル法のQuantum ESPRESSOとGW近似計算を容易に取り入れることが可能なecaljのインストールを行った。更にそれぞれのソフトウエアが正常に動作することを確認した。構築したPCクラスタでのAkaiKKRのテスト計算の一環として、立方晶の鉄・シリコン合金の全エネルギーを不規則度の変化をさせながら計算した。B2 FeSiとbcc FeSiのエネルギー差に対して不規則化に伴う配置のエントロピーによるギブスエネルギーの減少を考慮して、FeSiの規則・不規則転移温度の推定を行った。その結果、内核の圧力・温度条件では、B2 FeSiがbcc FeSiと比較してエネルギー的に安定であり、不規則転移は起こらないことが明らかになった。この結果について、国内学会(第61回高圧討論会)にて口頭発表を行った。この計算は、本研究の主目的である地球内核の積層欠陥濃度の決定問題と類似で、かつ、より計算コストの低い研究テーマである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計算機のセットアップが完了した。また、テスト計算から、構築した計算機がどの程度の計算コストのプロジェクトまでが現実的に実行可能であるかの把握ができた。最初に行ったテスト計算は、当初の計画計画していた鉄水素合金の積層欠陥エネルギーから、より単純な鉄シリコン合金の規則(B2)・不規則(bcc)相転移エネルギーへと変更した。その代わりに、メイン利用となるAkaiKKR以外のソフトウエアもインストールとテスト計算を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、鉄-軽元素合金の軽元素の種類・濃度を変化させながら積層欠陥エネルギーの計算を進めていく。
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