研究課題/領域番号 |
20K22371
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研究機関 | 新居浜工業高等専門学校 |
研究代表者 |
今井 雅文 新居浜工業高等専門学校, 電気情報工学科, 助教 (10877260)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | 木星オーロラ電波 / 雷 / Juno / 地上電波望遠鏡 / ハッブル宇宙望遠鏡 |
研究実績の概要 |
2016年7月に米国・NASAのJuno探査機が初めて木星極周回軌道に投入され、極軌道でしか見ることができない木星オーロラや雷の新しい様相が明らかとなってきた。しかしながら、オーロラや雷のような突発的な現象は空間的にも時間的にも変動するため、従来の1地点衛星観測からでは全貌を明らかにすることは難しく、新しい視点での研究のアプローチが必要である。本研究の目的は、Juno探査機と地上望遠鏡の連携観測を駆使し、木星オーロラ電波の多地点観測からその電波源の位置や紫外オーロラの発光領域との関係を理解すること、Juno探査機で得られる木星の雷や電離層の情報とハッブル宇宙望遠鏡で観測可能な異なる高度の木星の雲との関連を解き明かすことである。
令和2年度は、Juno探査機と地上の望遠鏡で得られたデータを蓄積・管理・解析できる研究環境を新居浜高専に構築を行い、共同観測された木星雷の初期解析を行った。具体的には、申請者が観測責任者として採択された大型低周波電波望遠鏡LWAの観測プロポーザルでは、2020年は220時間以上の木星電波観測を行った。また、申請者がCo-Iであるハッブル宇宙望遠鏡とJuno探査機との木星大気共同観測にも成功している。さらに、最新の木星磁場モデルを計算できるプログラムコードを作成した。これらの計算結果は、多地点観測で得られたデータを総合的に理解するために使用しているだけでなく、Junoミッションの科学観測計画を支援している。本年度に得られた研究成果は国内学会・国際研究会と査読付き論文にまとめて発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Juno探査機と地上の電波望遠鏡LWAやハッブル宇宙望遠鏡との木星共同観測が予定通り行われ、観測データの蓄積・管理・解析をしている。また、Juno探査機とハッブル宇宙望遠鏡で共同観測された木星雷の初期解析結果は、既に査読付き論文として出版されている。その発展研究を行うため、統計的な木星雷の電波情報を整理し、発生頻度や場所の特定のカタログを引き続き、作成している。以上のことから、おおよそ当初の計画通り研究を実施している。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究では、多地点観測から得られた木星オーロラ電波の解析を行うとともに、木星雷のグローバルな解析も行う予定である。さらに、2021年1月にNASAがJuno探査機の延長ミッションを2025年9月まで許可したことにより、長期的な地上望遠鏡観測支援を行うことができるようになった。そのため、引き続き国際協力をしながら、地上望遠鏡からの木星共同観測の実施やデータの収集も同時に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
米国・NASAの木星探査機Junoの主要ミッションは2021年夏までであったが、2021年1月にNASAが2025年9月まで、Junoの延長ミッションを許可した。このため、本研究に有用なデータをさらに取得することが可能となった。次年度は、それらのデータ解析に必要な物品の購入、学会や研究会での成果発表や論文での発表を行うために使用する計画である。
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