本研究の目的は、低圧・弱電離水プラズマの反応機構と組成の解明であった。本年度は特に電子エネルギー分布関数の測定に焦点を当てて研究を実施した。シングルプローブ測定のための測定系の整備を行い、1W級のECRプラズマ源におけるシングルプローブ測定を実施した。測定系のグランド周りの問題を解決し、絶縁処置をしたオシロスコープとバイポーラ電源を用いて、I-Vカーブが取得できることを確認した。 特に従来の研究では流入電流量が大きく難しかった小型ECR源で、電流を少なくすることにより測定が実現したことは大きな成果である。ただし、磁場に対して巻き付いている電子の振る舞いが影響する挿入方法になっていることは残存する課題であり、補修面の磁場に対して垂直な成分の影響は精査する必要がある。I-Vカーブを基にエネルギー分布の推定を実施していくことで、ボルツマン分布からの解離度については、予想することができる。 一方、本研究の主眼である平行磁場型ECR源については、設計解析の過程で現状のECR源との差異が大きいことが確認され、再設計が必要となった。特にアンテナに依存する電場の形状をよく検討する必要がある。 代表研究者の離職に伴い、本研究課題は2020年度をもって終了となった。プローブ測定のメソッドや四重極質量分析器による水プラズマ測定は、研究室所属の学生とともに実施し、メソッドが共有されているため、今後は学生を中心に実施されていく計画である。
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