本研究では、小型低価格な高高度対空型ソーラープレーンの実現に向けて、突風荷重をする能動的な構造制御を前提とした機体の実証を行った。本年度にて、能動空力弾性制御に必要な姿勢推定技術や各基板間の通信方式を確立し。また、シミュレータと制御回路を接続し、試験飛行に行かずとも機体の制御則の検証を行うことができるHardware In the Loop シミュレーションを整備した。2021年8月に4m実験機1号機が定常飛行に成功し、2022年3月には1号機の構造改良や基板の信頼性向上を行った2号機が定常飛行および一部自動飛行に成功した。以上より、本研究課題の範囲内において、4mサイズの能動空力弾性制御実験機の構築と運用に関するノウハウを確立した。以上より、本研究の学術的問いの一つである「艇豪勢な機体でも実飛行環境に耐えうるソーラープレーンシステムの構築ができるか」という問いに対しては「可能である」との結論を述べてもよいものと考える。 能動空力弾性の制御則自体については、現在ではPID制御による機体構造変位の安定化を行った。飛行試験で得られたログをもとに解析を進め、今後ダイナミックインバージョン制御やモデル予測制御のような、より高級な制御の実装を行う予定である。また、開発した柔軟航空機の飛行シミュレータと飛行ログの比較をより詳細に行い、モデルの高精度化を図るとともに、飛行制御装置に実装可能なより簡易なモデルの開発を進め、より多様な飛行環境に対してロバストな機体・制御則の開発を行っていく予定である。
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