今年度も2種類の燃焼発電技術について検討し,事業期間を通じて以下の成果が得られた. ①対向流拡散燃焼によるマイクロフレームを用いた超小型燃焼発電技術 対向流拡散マイクロフレームの周囲を熱電変換素子で被覆した構成を発電モジュールの基本仕様とし,火炎から熱電変換素子への伝熱量を可能な限り高め,発電モジュール外部への熱損失が最小限となる構造,各部の材質,寸法を決定した.本研究では,構造がシンプルな自然空冷で熱電変換素子を冷却する方法を採用し,熱電変換素子とヒートシンクからなる試作発電モジュールの体積は2.54 cm3となった.この値はこれまでに報告されている類似の燃焼発電システムの体積と比較して1~2桁小さい.燃料であるバイオガス(メタンと二酸化炭素の混合気)もしくは水素(安全のため微量の二酸化炭素を添加)と酸素を逆向きに噴出させ,投入熱量4~10 Wの条件で発電性能を測定した.燃料の種類によらず,投入熱量7 Wで最高変換効率0.14%,投入熱量10 Wで最大発電量13 mWが得られた.この時の発電モジュール体積当たりの発電量(出力密度)は5.12 mW/cm3であり,我々が調査した限り自然空冷方式の燃焼発電における最高値を記録した.小型かつ数ミリワット~数十ミリワット程度の出力が得られる再生可能エネルギーからの電力変換技術は,IoT機器等用の低環境負荷動力源としての応用が期待できる. ②マグネシウム燃焼発光からの高効率光電変換技術 マグネシウムリボンの連続燃焼装置を製作し,燃焼発光スペクトルの測定および太陽電池を用いた場合の光電変換効率を測定した.マグネシウム燃焼発光のスペクトルは太陽光のそれよりも,現在最も普及している結晶シリコン太陽電池の発電感度スペクトルとの合致度が高く,光電変換効率として31%が得られた.この値は,太陽光下で測定した変換効率より2.7倍高い値である.
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