研究課題/領域番号 |
20K22398
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
金田 礼人 九州大学, 工学研究院, 助教 (60879972)
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研究期間 (年度) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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キーワード | ヘビ型ロボット / ソフトアクチュエータ / トビヘビ |
研究実績の概要 |
生物のヘビは、その細長い形状を活かして狭所や樹上など複雑な地形を移動でき、また種類によっては水中遊泳したり滑空飛行したりする。これを模倣したヘビ型ロボットは、工業・医療における内視鏡検査および災害現場での探査活動に役立つと期待されている。ヘビ型ロボットの研究の歴史はすでに50年にも及ぶが、その基本構造は現在に至るまで変わっていない。無数のリンク機構を直列につなぎ、その関節部に1~3個程度のモータを配置している。この構造はそのシンプルさと制御の容易さから、長年のあいだ研究者に好まれて使われ続けている。しかし、その伝統的な固い構造は環境との相互インタラクションが制限する問題があった。一方で生物のトビヘビはろっ骨を広げることで体を扁平にし、滑空することが知られている。申請者は、このような大きな形状変化をヘビ型(連続体)ロボットに取り入れることで、不整地や樹上での踏破性が向上できると考えた。本研究では申請者が独自に開発した柔軟直動モータを用いて、自身の形状を大きく変形できるソフトヘビ型ロボットの開発を目指す。提案するロボットは、このトビヘビを模した胴開閉機構を取り入れることで、環境とのインタラクションを自発的に変化させる。生物規範ロボットを用いたアプローチによって、柔軟性が環境への適応性に与える影響を明らかにし、形状の変化による狭所および壁面における踏破性の向上を調査する。さらに、マイクロ柔軟直動モータを開発し、トビヘビのような滑空の実現可能性を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、予定通りヘビ型ロボットの試作機を開発した。いくつかの不整地のフィールドを用意し、その環境下においてヘビ型ロボットの形状変化による踏破性の向上を示した。しかし、試作機は当初の予定よりもかなり重量が大きくなり、ロボットの細長い体が座屈する等の問題が生じた。 そこで、連続体ロボットのための可変剛性機構を新たに考案した。この機構は、申請者が提案する柔軟直動モータだけでなく一般的なワイヤ駆動の連続体ロボットにも適用できる。最大で剛性を15倍程度向上することを確認した。この成果はIEEE ACCESSで報告している。 さらに、胴開閉機構からヒントを得て、新たに伸縮アーム機構を考案した。ヘビのようにグネグネと曲がりながら、自在に伸縮でき、アーム先端で大きな荷重を支えることができる。開発したアームはまだ試作段階であるが、すでに優れた性能が得られており次年度中にも成果をまとめて報告する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
課題は予定通りに進捗しており、次年度中に実験の結果をまとめて成果を報告する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス対策により、大学での実験が少なかった事と学会の参加が出来なかったため、費用の繰り越しが生じた。翌年度は学会の参加費および論文の校正費が増加するため、その分で増額分を帳消しする予定である。
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